2年前の『テンペスト』は琉球王国を舞台にした、スペクタクルな大長編で読んでいてハラハラドキドキさせてもらった。彼の作品の中でも最も好きな作品だ。
今回の作品は、前作と同時代の琉球王国を舞台にして、筑佐事という当時の岡っ引きみたいな職についた青年を主人公にした連作モノ。前作のような血沸き肉踊るって感じはしないけど、むしろ琉球の市井の人々の生活を、人情味豊かに描いた心に残る作品だ。
前作『テンペスト』の登場人物も登場するので、ファンにはうれしいところだけど、あくまでも控え目。物語の中心は、主人公の武太と彼を取り巻く人々。前作の琉球王国の絢爛豪華はないけど、王朝の華やかさとは裏腹に、困窮する民たちへの著者の視線はとても温かい。読後感がとてもいい作品だ。
ぜひ、続編を出して欲しい。