登録情報
|
特に印象深いのは、冒頭の「幻想即興曲」。いたずらにつっ走らないで、音色とニュアンスの豊かさを最大限に生かそうとしている演奏だ。なかでもコーダで中間部の歌謡的なテーマが戻ってくるところをゆっくりと強調して弾くところは、大変意味深い解釈だと思う。こうした短い曲でフジ子の個性が音楽の本質と結びついたときの結果は素晴らしい。「英雄ポロネーズ」は、悠然たるスケールと、力まない恰幅の良さが、ユニーク度満点で、細部の表情も考え抜かれている。クナッパーツブッシュや朝比奈隆がピアノを弾いたらこうなるのではと思うような、柄の大きい演奏である。「別れのワルツ」のたっぷりとしたルバートやきらりと光る装飾音も耳を惹くものがある。
後半のメイン曲であるチャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番は、異常なスローテンポの揺れに評価が分かれるところだろう。非常にユニークな演奏であることは確かだ。この曲は、通常猛々しく、オーケストラとつばぜり合いするような「競争」的な演奏が多く、作品自体もそういうものと思われている傾向がある。しかしフジ子は、「競争」に参加することにはまったく関心を持っていない。音楽がどんなに急いても、決してあわてず、自分のペースを守り、オーケストラを従えながら、ひとつひとつの楽句に念入りに色をつけていく。その中にいままで耳にしてきたこの曲の演奏とまったく違う美しさをもった表情が立ち現れてくる瞬間が、何度もあるのはさすがだ。2002年10月、横浜でのライヴ・レコーディング。(林田直樹)
この商品にタグをつける(詳細)タグは、商品との関連性が非常に強いキーワードまたはラベルのようなものです。
タグにより、すべてのお客様がお気に入りの商品の整理と確認を行うことができます。 ※タグは初期設定で公開になっています。詳しくはこちら |
|
この商品のクチコミ一覧
クチコミを検索
|
関連するクチコミ一覧
|
|