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世に知られた神話の定説を、敢えて神々を登場させず、非常に個性的で魅力ある登場人物たちを配した作者独自の解釈で創作・編成してあり、「あの事件にはこんな裏があったのでは?」という小説ならではの面白さが十二分に味わえます。
数ある翻案作品の中でも突出した完成度。
さすがに自ら『イリアス』(=イリオン(トロイ)の歌=The Song of Troy)と冠するだけのことはあります。
ただ、ギリシア側に較べてトロイア側の人物描写がかなりシビアなので、そちらに思い入れのある向きには、ちょっと微妙なものがあるかもしれません。
追記(2005.5.5)
その後、マーケットプレイスで邦訳『トロイアの歌』を入手しましたが、再読し、改めて邦訳と原著は別の物だという感を強くしました。
あくまでも私の個人的な好みですが、やはりこの作品に関しては、原著をお薦めしたいと思います。
学者たちの世界ではこの叙事詩はホメロス一人によって書かれたものではなく、数十年からの時を隔てたか、まったく違う作者(たち)によるものだという説まであります。確かに岩波から出版されているこの作品群を読むと、文体や語り口がまったく異なり、そう唱える学者があっても不思議ではありま!せん。それがこの作品ではコリーン・マクロウが新たに書き直しているので、そう言った違和感もなく、これらが一続きの物語であることが読み手に何の違和感も与えないのです。
私の場合、これを読んでから岩波を読みましたが、難しい表現でも「ここはこうだったな」という具合に『トロイアの歌』を思い出しながら読み進める事が出来て、オリジナルとの違いを知る上でも非常に役に立ってくれました。
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