アウトドア関係の本は何でもそうですが、読む人の立場や経験・技量によって評価がまったく分かれてしまうことが少なくありません。かく言う私は、年数だけでいえば全く登っていなかった時期を差し引いた実質的な登山歴は十数年、学生時代は冬山も岩も経験していますが、今は無雪期のテント泊山行を年に数回、海外トレッキングの経験は1回だけあるという程度の者です。この本に書かれていることはある程度登山経験のある方であれば基本的には大抵ご存知のことだと思いますが、優れている点も多数あります。第一に、文章が読みやすい。ただし、明らかな誤植と思われる点がいくつかあり、これはまだ新しい版のためだと思われます(私が読んだのは第一版第二刷)。第二に、写真がきれいでカッコいいです。パラパラ見ているだけで山に行きたくなってきます。第三に、ウエア類・道具などは最近著しい進化を遂げている登山用品の新しい情報を数多く紹介しており、私のようにベースの知識が二十年以上前の者には有り難いです。それだけに、惜しまれるのは、個々の情報をもう少し具体的に記載して欲しかったということです。紹介されているウエア・道具・書籍・ウエブサイト・ルート・山小屋など、実際に試してみようという時にやや情報不足です。おそらく、カタログ的になるのを避けるために意図的にそのように編集されているのだろうと想像しますが、「実践学」という面で少し物足りない気がします。また、著者のソロや(山小屋利用でなく)テント泊へのこだわりは、個人的には大賛成ですが、一般には意見の分かれるところでしょう。ともあれ、最近の登山常識・道具やファッションをオールラウンドに、手っ取り早く概観するのにはとても役に立ちました。