たまには名作も読まないと、という不純な動機で読んだ本。実は多読主義にやや疲れを覚え、そろそろ読書の対象を精選すべきではないか、と血迷ったときに買った本である。「イワンのばか」の筋さえろくに知らなかった疎い私には、本書は猪木のビンタのようなものだ。
民話であり、多くは口承説話に取材した作品である。話の筋は穴だらけなのに、妙に心に残るのは、作者が物語の核心を違わず掴んでいるからであろう。全部で9編が収録されているが、一番印象的な作品は、「三人の隠者」で隠者が海の上を滑ってくる場面。単純な文体なのに、総毛立つほどの効果である。また、「人にはどれほどの土地がいるか」は、子どもの頃教科書で読んだから、懐かしかった。
解説は何だか難しい言葉を使って、易しいことを難しく表現しているようである。文章は理解されてこそ意味があるのに・・・。