スレイ・ベルズは米ブルックリンで結成された男女二人組。スリランカ人のラッパーM.I.Aの立ち上げたレーベルと契約し本
作でデビュー。
去年辺りから一部の音楽ファンの間で前評判が高まっていた人達だが、実際聴いてみるとその音楽のインパクトの強さにま
ず驚かされる。良い意味での懐かしさとチープさを感じさせるシンセサイザで細かく刻まれる爆音ビート、ノイジーなギター、
過度に加工されたロボ声のような女声ボーカル。彼らの音楽を構成する要素は基本的にこれらのみなのだが、それらの組み
合わせ方が実に独特で、何よりデビュー作特有の勢いがあるのが良い。そういう意味で彼らが契約を交わしたレーベル創立
者であるM.I.Aのデビュー作に感じられた、奇天烈だが耳を傾けずにいられないエネルギーと共通するのものを感じる。
作品中で重要な役割を果たしているのが、ボーカルのアレクシス・クラウスの存在だ。「インフィニティ・ギターズ」で爆音ビート
とギターに負けない存在感で、しゃくり上げ叫びまくしたてると思えば、「ラン・ザ・ハート」では可愛らしい高音で囁くように歌っ
たりと、各曲のテンションに柔軟に対応し声の表情を変えることで、音楽にメリハリをつけ親しみやすいものにしている。
全11曲で尺が30分強。どの曲も大きな差異は感じず曲間が繋がっているものも含まれる為、どれか一曲を取り上げて聴くとい
うより作品全体で聴き通すのがお勧め。何よりアイデアの斬新さ先行で作られた印象が強い為、彼らが次の作品以降もこの路
線を踏襲するとは考えにくいが、一つの作品としてはとても良い仕上がりになっているので、ここは楽しんだもの勝ちの発想で多
くの音楽ファンに聴いてもらいたい。