40年近いキャリアの中で、孤高のアーティストと呼ぶにふさわしい作品群を創作し、我々を魅了し続けてくれたジョニ。そのジョニの作品をリスペクトするこんなにも多彩なミュージシャンが集合し、他のミュージシャンに対するものとは一味違う見事なトリビュート・アルバムが出来上った。原曲を聴きなれた人は1曲目冒頭のホーンの音から驚くだろう。原曲のメロディーがほとんどわからないような大胆なアレンジの曲が多いが、各ミュージシャンがジョニの曲に真剣に向き合っている姿勢は十分感じられる。このようなトリビュート・アルバムになったのはある意味ジョニの作品だからこそで、原曲の奥行きの深さを物語っている。私にとって一番のハイライトはプリンスが高音で歌う「ア・ケイス・オブ・ユー」。初期ジョニの名曲がプリンスによってこのように歌われてジョニも本望だろう。他にも「ヘルプ・ミー」のように原曲に忠実な曲も楽しめる。名作「夏草の誘い」以前の初期の曲に選曲が集中しているのが残念だが、その中で後期の社会的メッセージの強い作品を力強く歌っているエミルー・ハリスはさすがの貫禄。本作はこのようにジョニの曲を素材にして個々のミュージシャンの個性・ジョニへの想いが強烈に伝わる傑作である。