カサンドラ・ウィルソンは現代のジャズ・ボーカル界で人気・実力ともにナンバーワンの歌手であることは紛うことのない事実である。だが彼女の作品を聞くと、口惜しいとまでは言わないまでも、ある種の物足りなさを感じるのは否定できない。彼女のボーカリストとしての才能は素晴らしいのに、どのアルバムでもそれが充分に発揮されていないように思えるのである。
マイルスをトリビュートした本作は、冒頭のエレクトリック・マイルスのカバーから早くも冒険的アプローチを見せ、タイム・アフター・タイムに至ってはオリジナルを遥かに凌駕するパフォーマンスを聞かせてくれる。だがやはり、全体的に一味足りない感は否めない。カサンドラ本人が今までのプロデュースでは自分の才能を引き出しきれていないと考えたかは定かではないが、本作からセルフ・プロデュースを始めているけれども、クレイグ・ストリートがプロデュースをしていた頃と違い微妙に方向がずれているように思える。
一ファンとして、カサンドラの才能はこの程度でまとまって欲しくはない。今後彼女が躍進するに当たって重要なのは、優れたプロデューサーに出会うことだと考えているのは私だけなのだろうか?
評価/100点中60点
Cassandra Wilson(vo)
Olu Dara(cor)
Steve Coleman(as)
Marvin Swell(g)
Kebin Breit(g)
Pat Metheny(g)
Eric lewis(p)
Stephan Harris(vib)
Cecilia Smith(vib Marimba)
Lonnie Plaxico(b)
Dave Holland(b)
Marcus Baylor(ds)
Jeff Haynes(per)
Mino Cinelu(per)
Angelique Kidjo(vo)
Regina Carter(vln)