素封家の四男・園倉と、コンビで活動しているイラストレーターの戸川と詠子、
そして精神科医・天野の四人が、園倉の屋敷に集まり、コントラクト・ブリッジ
をした夜、事件は起きた。
誰もいないはずのキッチンで、なぜか薬缶の湯が沸騰し、
密室状態の遊戯室から、詠子が忽然と姿を消したのだ。
数日後、彼女は遺体となって発見される。
天野は、自らの体験を手記に綴り、それをもとに事件を
解明してもらうよう、牧場典子と智久の姉弟に依頼する。
本作は二部構成となっており、第一部「赤のカード」が天野の手記に当る作中作のパート、
そして、第二部「黒のカード」が、手記の謎に典子と智久が挑むパートとなっています。
手記のなかには、「カード・ゲーム用語表」や「コントラクト・ブリッジ用語表」、さらには俳句や、
分裂症患者の妄想といった、事件とは無関係な記述が挿入されていますが、智久によって、
そこに隠された暗号と、それに託された秘められし想いや真情が浮かび上がらされていきます。