性転換・異性装・魂の入替をテーマにした季刊誌「チェンジH」に掲載されていた、誌内随一のハードSF漫画です。
バイオテクノロジーが進んだ近未来、人間のクローンは国際機関により厳密に規制されており、処置を許されているのは世界でもその代役が居ない僅かな「エタニティ」と名付けられた要人だけです。
彼らを保護する陣営と宗教的理由からクローンの存在を認めない過激派との知略を尽くした戦いを描いています。
この様な政治サスペンスに入り組んだジェンダーと人間とは何かと言うテーマを、度重なる暗殺により正規クローン(♂)の熟成が間に合わずに予備ボディで復活した長官「サカキ(元♂)」と巻き添えで肉体を損傷し、補修までサカキの未成熟なクローン体(♂)を仮住まいとしている子供「リー(元♀)」、そしてテロリストが作り出したトランスジェニックの若き暗殺者シン(元?) 3名を主人公にして描いている為、相当ややこしいのですが、2度ほど読めば理解出来ます。
掲載誌の他作品では滅多に無かった性転換発生の説明がしっかりとなされており、本設定を単なるエロティックな小道具に落とさない厦門氏のこの分野に関するマニアックさ伺える作品でした。
設定はハードですが、人物描写は自分もジェンダーの混乱に戸惑いつつも、より弱い立場のリーを気遣うサカキを始めとして、繊細な優しさが感じられる良作です。
連載作品に加えて、本編の後日譚が書き下ろされています。
繊細かつちょっとハードなSF漫画がお好きな方にはお薦めです。