アメリカの従軍カメラマン、ジョー・オダネルが、
原爆投下後の広島や長崎を撮影した写真集だ。
何もなくなってしまった広島の街。崩れ落ちた長崎大浦天主堂。生存者の笑顔……。
中でも衝撃的なのが、「焼き場にて、長崎」である。
この写真だけでも、この本を買う価値がある。
幼い弟を背負った直立不動の少年。弟の表情は穏やかだが、首は大きく後ろに倒れている。
うながされて少年は弟をおろす。係員はその子を燃えさかる炎の上に乗せた――。
少年は焼けていく弟を見ることなく、じっと気をつけの姿勢で前を見続けたという。
ピンと伸びた指先……。
この写真集は、スミソニアン博物館での展示がキャンセルされた。
展示されたのは、原爆を投下した「エノラ・ゲイ」だけだ。
「原爆によって終戦を早めることができた」とアメリカは今も言う。
しかし、すでに戦争の勝敗は決していた。そこで何万人もの一般人を焼き殺す必要があっただろうか。
写真とともに添えられた文章が、いい。
写真に釘付けにさせられた視線を揺さぶるような文章。
国家の壁を越えた人間愛のようなものを感じる。
なお「焼き場に立つ少年」の写真は長崎市に寄贈され長崎原爆資料館に展示されている。