この本を単なる「経営者だけに都合がよくなる首切り指南書」としか評せない人は、本の内容を十分に読まぬまま表題に対してのみ感情的に反応している証拠であろう。
我が国の解雇規制,賃下げ規制の過剰さは欧米諸国と比較しても異常とも呼びうるレベルであり、いちど雇ってしまえばどんなに能力の低い社員であろうと、解雇はおろか賃下げすら至難の状況にある。このことが入り口(採用)のハードルを極端に高いものにし、我が国の「労働市場」というものを機能不全に陥らせている元凶でもある。
私は経営者としてではなく、管理職ですらない一社員の立場からこの本を読んでみたが、書かれているのは決して「経営者にオイシイ首切りをさせる」ための入れ知恵ではない。あくまで現行の法制の枠内で、経営者と社員の双方にとっての不利益を最小にとどめたまま、いかに「未来志向」で労使関係を後退させるか、について温かい論調で詳細に説明されている。
このような「タブー」とされる領域の問題に真っ向から斬り込んだ勇気と、現代の雇用社会に向けての著者の深い想いに、最大級の賛辞を送りたい。