とはVOL.2のマリアのコトバですが、本作と本家サウンドオブミュージックとの大きな違いを象徴しているものに、物語冒頭部における7人の子供たちの“閉ざした心”の原因の扱いがあります。
本家の理由付けが、シンプルに厳格な家訓と母を亡くした喪失感だけに留まっているのに対して、この“トラップ一家物語”では、最大の理由付けとして母を亡くした後に雇った家庭教師達が、雇い主の表面的な評価を得るために子供たちを悪用しようとしてしまったことからくる、“大人達の汚れた心・欺瞞への嫌悪”というオリジナルエピソードが追加されています(尚、この後に、マリアが“大人を信じられないのよね…覚えがあるなあ…”と言いながら、自分が虐待された記憶を回想するシーンが挿入されます)。
このエピソードを発端として、この後もトーンの明るいメインストーリーの影で、頻繁に“絆とは?”とか、“幸せのかたちとは?”とか、“本当の友達とは?”などと言った、極めて現代的でとても共感できるテーマを問いかけ、それらの問いかけにこの作品ならではの答えを導きだしたところに、この―世界名作劇場“トラップ一家物語”―としての素晴らしいところがあると思います。
幸せも束の間、突如として襲った銀行の破産による全財産の損失。
離れてゆく“友人たち”のなかで、ゲオルグは何を失いそして何を得たのか―。
―それはきっと、観ている側にとっても、とても身近なことなのでしょう。