もの凄い内容。
ALSとは身体を動かす神経系が壊れ、全身の筋力が失われていく難病。
その難病にかかった徳田虎雄の言葉が強烈だ。言葉といっても、透明の文字盤の文字を眼でさし、それを傍らにいる秘書が読み上げるかたちをとる。例えばこんな具合に。
<ぜんしんの きんにくは よわってしまっても あたまは せいじょうで さえわたっている げんきだった ときより むしろ ぶんかてき せいかつ かも>
徳田虎雄は昔から知っていた。日本医師会との壮絶な軋轢……自由連合代表としてタレント議員を大量擁立……。そして惨敗……。本書で著者が語っているように、私にもキワモノといった印象しかなかった。
しかし、ALSという難病を患ったからか、そして声を発することができなくなったからか、現在の徳田虎雄は、かつてのイメージと大きく異なる。彼が眼で示す言葉の数々がとても洗練されていて、けれんみがないのだ。
<これから が じんせいの しょうぶ とじようこく には びよういんが あれば たすかる ひとも たくさんいるはず>
全身不随の身となりながら、なおも前を向き続ける徳田虎雄には凄みすら感じた。
本書には、なぜ徳田虎雄がこうした情念をまとうようになったのかが、生誕地の徳之島まで遡って著者の青木理によって丹念に取材されている。
久しぶりに内容のあるノンフィクションを読んだ気がする。