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トラウマの医療人類学
 
 

トラウマの医療人類学 [単行本]

宮地 尚子
5つ星のうち 4.5  レビューをすべて見る (4件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

出版社 / 著者からの内容紹介

トラウマという言葉が飛び交うようになって久しい。
冷戦終結後には世界各地で内戦が起こり、「民族浄化」という名の虐殺がつづいた。
9・11以降、世界の暴力化は加速していき、イラク戦争下の2004年にはアブグレイブの拷問の写真が新聞の一面を飾った。
もとは米国でのベトナム戦争帰還兵への対処から生まれたPTSD概念も、
トラウマ同様、日本では阪神淡路大震災と地下鉄サリン事件をきっかけに注目され、
自然災害や交通事故から殺傷事件、ドメスティック・バイオレンス、レイプや幼児虐待その他、
それぞれの事情に対処するための重要なキイワードとなってきた。

だが、これらの言葉は正しく理解されているのだろうか。
ヴィジョンなき概念の使用から、さまざまな問題が生まれてきているのではないだろうか。

大学で平和社会論を教えるいっぽう、精神科医として医療人類学・文化精神医学にかかわり、
性暴力についてのカウンセリングや難民医療にも力を注いできた著者は、
このような時代の中で、何を考え、どのような実践をしてきたのか。
本書にはそのすべてが映し出されている。
移住者問題、薬害エイズ、「慰安婦」問題、PTSD概念と法・裁判、拷問とトラウマ、
マイノリティのための精神医学など、その力強く具体的な筆致からは、
今を生きるわれわれへの大切なメッセージが伝わってくる。

内容(「BOOK」データベースより)

臨床現場で出会ったクライアントの声から薬害エイズ、移住者問題、PTSDと法、マイノリティの精神医学まで。今を生きる一精神科医の思考と実践と共感の書。

登録情報

  • 単行本: 375ページ
  • 出版社: みすず書房 (2005/7/22)
  • ISBN-10: 4622071509
  • ISBN-13: 978-4622071501
  • 発売日: 2005/7/22
  • 商品の寸法: 19 x 13.6 x 3 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.5  レビューをすべて見る (4件のカスタマーレビュー)
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12 人中、10人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By カスタマー
形式:単行本
どのように解決されるのか皆目検討もつかない、複雑にからみ合った問題を前にすると否認してその問題を存在しないことにしたり、考えたって仕方がないと諦めたりすることが多いと思いますが、著者はそれらの問題を正面から見据え、取り組んでいるように感じました。その真摯な姿勢に心をうたれました。
心とからだのつながりなど、これからの精神科医療が目を向けるべきことにも触れられていて非常に興味深く読みました。
このレビューは参考になりましたか?
2 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 黙羊
形式:単行本
 この本から、テキスト的な知識を求めてはいけない。トラウマに関する書籍もまた、医療人類学に関する書籍も多く、何かを学ぼうとする者は、もっと基礎的なテキストから入って欲しい。本書は、初心者向けではなく、少なくとも文化人類学が現在置かれている問題を知悉しつつ、それに悩む者を対象にしている。エッセイではあるが考えさせられる。
 確かに、すべての行為は政治的ではあろうが、しかし、人は何かをせずにはいられないのだ。
このレビューは参考になりましたか?
3 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:単行本
トラウマ治療では単に優しく接するだけことたりるものではない。このような状況の中で
、どうすれば良いのかといった答えが一つ明確にあるわけではないことは当然である。安
易な答えを求めることは無意味だが、しかし、治療者としてどのようにしても被害者を傷
つけてしまうという無力感は強く、何もできず、身動きが取れないという絶望感に、本書
を読んでいると陥ってしまう。逆転移から理解すると、この無力感や身動きのとれなさは
まさに被害者の体験そのものであると言えるのだが、本書のインパクトある口調を前にす
ると、その逆転移理解すらも薄っぺらく、情緒を排除するための知性化にしか思えなくな
ってしまう。

また、この状況で治療者として被害者に関わることが、一見すると治療だが、実はそれが
暴力的に作用するということもまたあるのかもしれない。というのも、どういう治療を行
うのかにもよるが、基本的に治療は侵襲的なものである。単に癒しがあるとか、すべて丸
く収まるものであると楽観的に言うことはできない。このような中で治療すること自体が
トラウマの再演になる可能性は大いにある。被害者も意識的に傷つくために行動しようと
いうことはないだろうが、無意識的にトラウマを反復したり、罰を進んで受けようとする
ことがある。これらのことを見ると、フロイトの死の本能を連想してしまうこともある。

しかし、反対に反復することは、それを乗り越えようとする動機であるとも言うことがで
き、健康さのあらわれだと理解することもできるかもしれない。このような中で、反復す
ることはダメとか、侵襲的にしないようにと考えるのではなく、そのような状況が治療の
中で起こっているのはどういうことなのかという意味について考え続ける必要があるかも
しれない。
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