内容紹介
「トラウマ」と「ジェンダー」。どちらも概念としては新しいものだが,人々の行動に深く影響をおよぼし,心理学,哲学や文学,人類学や社会学などにおいて繰り返しとりあげられてきたテーマである。これら2つが交差する領域は広くかつ深く,検討すべき理論もさまざまな分野にわたり,はてしない作業となる。その膨大な作業の端緒として,ここではトラウマをめぐる精神医学や心理学の臨床に,ジェンダーの視点を導入することに最大の重点をおいた。
本書では,トラウマとジェンダーが重なる問題として,対人的なトラウマ,それも親密な関係における長期反復的なトラウマであるドメスティック・バイオレンスや性暴力,児童虐待の事例が多く取り上げられ,議論されているが,これらは社会的にも対応に危急を要するテーマでもある。臨床にすぐ役立つ,ジェンダー・センシティブなアプローチの要点が提示され,さらに,臨床現場にトラウマとジェンダーの視点をとり入れることで,具体的にクライエントの何を見,どのような働きかけをし,どんなことに気を配るかが事例検討で明らかにされている。
ジェンダーを問うことは,日頃意識化していないことをさせられ,これまでよりどころにしてきた価値観が問われるなど,自分自身が揺らぐ経験になるが,同時にクライエントへの新たな気づきが確実に増え,臨床の枠が広がり奥行きが出てくるだろう。トラウマを負った人により良質なケアを提供するために,こうした視点が臨床の現場においていかに必要となり,また助けとなるかを,第一線で活躍する各執筆者が真摯に論じた。最終章では中井久夫氏が,自身の濃密な臨床経験に引きつけて「トラウマとジェンダー」を語っている。
これまで手を着けられてこなかった領域に鋭く切り込んだ,画期的な書である。
内容(「BOOK」データベースより)
本書では、トラウマとジェンダーが重なる問題として、対人的なトラウマ、それも親密な関係における長期反復的なトラウマであるドメスティック・バイオレンスや性暴力、児童虐待の事例を数多く取り上げ、議論しているが、これらは社会的にも対応に危急を要するテーマでもある。臨床にすぐ役立つ、ジェンダー・センシティブなアプローチの要点を提示し、さらに、臨床現場にトラウマとジェンダーの視点をとり入れることで、具体的にクライエントの何を見、どのような働きかけをし、どんなことに気を配るかを事例検討で明らかにしている。