香港に生まれ第二次世界大戦では収容所体験の苦労もされて、戦後イギリスで美術を学んだ後にイラストレーターとして大成された老ベテラン絵本作家ローズが1979年44歳の時に発表された名作動物絵本の紹介です。
むかしインドのジャングルに年をとって獲物も取れなくなり骨と皮ばかりにやせ衰えたトラが住んでいました。夜になると宮殿に行って王様と家族がおいしそうにごはんを食べる様子を窓から見て「オレも仲間に入りたいなあ」とうらやましがるトラでしたが、ある日宮殿の庭に干されたトラのじゅうたんを見て一計を案じるのでしたが・・・・。
このトラくんも若い頃はきっと元気で気性も荒いどう猛な性質だったのでしょうが、年をとってすっかり気弱になり生きる為にはなりふり構わずプライドも捨ててじゅうたんになり切る姿は、一見するとちゃっかりしているお調子者のように見えますが、それでもそのしたたかながんばりようと一生懸命な決意が心に伝わって来て「つらくひもじい暮らしから脱け出せて本当によかったね」と声を掛けてあげたくなります。でも人生そうそう上手くは行くはずもなく、いずれはばれて追い出されてしまうのではと心配するトラくんの不安な気持ちを感じると、読んでいて思わず胸がしめつけられるような心地がします。でも、ここで心の優しい作者は冷たくトラくんを見捨てずに、あっと驚く起死回生の逆転ホームランを用意します。それまでまるで猫のようだったトラくんが一転して本領を発揮する一世一代の晴れ姿のカッコ良さに感激し、そして王様が心の底からトラくんに感謝する嘘偽りのない気持ちがわかり、人と動物の間に結ばれる真剣な友情に感動してもらい泣きしそうになります。あなたもぜひこの素晴らしい動物絵本を読んで幸福な時間を過ごされ心が大きな喜びで満たされますようにと自信を持って本書をお奨め致します。