「危機の経営」という副題の通り、石田退三氏、豊田英二氏をはじめとするトヨタ経営陣の戦略を垣間見ることができます。労働争議、日本初の自動車開発、石油危機、円高、日米貿易摩擦。数々の危機に立ち向かう経営の「現場」のひりつくような緊張感。経理としては、「トヨタ銀行」と呼ばれる鉄壁の財務体質を造り上げた花井正八の話や、グリーンメーラーとの戦いをおもしろく読みました。
ただし序章や第1章でも述べられていますが、ストラテジー、つまり経営戦略について書かれた本なので、トヨタ生産方式や自動車技術などの内容を期待されると肩透かしをくいます。また経営という分野に興味がない人にとっては、トヨタの単なる通年史ととられてしまうかも知れないのが残念です。