本書を読んで感じたのは、トヨタのひどさというよりも「トヨタもやっぱり、普通の会社なんだな」ということ。
おそらくそれなりの規模の企業に属したことのある人なら、本書で扱われるような「トヨタの闇」は、想定の範囲内のことであろう(もちろん、問題であることは事実だが)。
ただ、評価したいのは、著者がそこであえて、トヨタを悪者に仕立てようとの情報操作をあまりしていないことだ。
例えばリコール台数がダントツであることを糾弾する一方で、販売台数との比較ではむしろリコール率が低いなどのデータもちゃんと提示する(批判的にではあるが)。
また、トヨタ自身が労務環境の改善に動いているということについても触れている。
その気になれば、このような情報は開示せず、一方的な批判本にすることもできたはずだ。
著者も書いているうちに迷いが生じたのか、後書きを読むと、本書がなんだかトヨタへのエールにすら思えてくる。
著者のマジメさゆえか、消化不良な一冊である。
本書を読んでむしろ暗澹たる思いになるのは、トヨタに気を使い報道を自粛するマスコミの姿勢。
ここにこそ、大きな問題があるような気がしてならない。