確固たるブランドイメージを持ち、市場を熟知する企業として、メイナードはBMWと現代(ヒュンダイ)の2社を挙げている。そして、国内外の自動車会社の経営者や従業員のインタビューをもとに、米国消費者を勝ち取るべく、再三、より革新的で戦略的な方法をとってきた外国企業の姿を描き出す。たとえば、トヨタは米国に自動車工場を建設し、地元の従業員をトレーニングした。なかでもスペイン語を母語とする労働者は、やがてメキシコや南米などのトヨタ工場で働けるようになっていく。語られる内容は手ごたえのあるものだが、文章はときとして退屈になる。米国自動車産業に対するやや悲観的な意見ではあるが、それでもなお興味をそそられる1冊だ。
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ビッグ3のシェアが落ちているのは「商品の競争力のなさ」その一言につきるわけで、マーケット把握・予測の甘さにはじまりクオリティの低さや、販売数かせぎのレンタカー屋への乱売など近視眼的セールス施策でリセールバリューを更に落とすなど、本書はビッグ3の「罪」が詳述されます。
今のビッグ3ラインナップ、商法からして、シェア低落はいわば必然の結果。何の不思議もない。だから本書の内容はある意味当たり前の事実の再確認を繰り返し繰り返し行っているだけなのでジャーナリスティックな意味で「非常に面白い」「興味深い」内容ではないと思います。もちろんトヨタの「カムリ」商法、ホンダの「オデッセイ」手法、ヒュンダイ、BMWの米マーケティグの実際などきちんとした調査・取材に基づいて書かれているので「米自動車マーケットの最新事情」を知りたい向きにはおすすめできます。
メイナードは、この本の中で、デトロイトを中心としたアメリカの自動車会社が外国メーカーとの競争に敗れ、次第に衰退していく様を描いている。そして、2010年には、その象徴的な出来事として、トヨタがGMを抜いてナンバーワン・カンパニーになるであろうことを予言している。
彼女は、デトロイト没落の原因は自信過剰からきた「思い上がり」を指摘し、これに対して、トヨタ・ホンダ・日産・BMW・ヒュンダイなどの外国メーカーは、製造現場を重視し、販売現場の声を開発部門に素早く反映させる地道な努力の積み重ねの故に、強い競争力をもっていると結論付けている。
アメリカ自動車産業に関するこうした論評は、必ずしも目新しいものではない。80年代はじめに書かれた名著「覇者の驕り(THE RECKONING)」(D.ハルバースタム、1986年9月、日本では1987年)においても同様の結論を引き出している。ただし、ハルバースタムは必ずしも日本車=その代表メーカーとして取り上げた日産=が必ずしも覇者になるであろうとは結論付けていない。むしろ、日本車の後を追う韓国メーカーが、同じようなやり方で米国市場、世界市場を狙うであろうことを示唆している。
一方、1994年に米国でベストセラーになった「激突(COLLISION)」(M.ケラー著)によれば、世界の自動車業界は、トヨタ・GM・VWの激烈な競争の結果、GMが覇を唱えるであろうことを予測している。このなかで、ケラーは、経営管理の面でトヨタが大きく遅れをとり、労務管理の面で困難さを持つVWに比べ、経営全般にわたって改善の著しいGMに軍盃を上げている。
80年代のハルバースタム、90年代のマリアン・ケラーに続いてデトロイトと日本メーカーの帰趨を著した2000年代のメイナードの結論に対し、市場はどのような評価を下すだろうか?
残念なのは翻訳である。全般的に万人向きに読みやすくしようと努めているのだろうが、業界で一般的な専門用語を独自に創作して翻訳にするのはやめて欲しい。
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