漫画アクションで「大阪ハムレット」を不定期連載している森下裕美が、現在アクションで連載している長編コミックの第1巻。アクションでは以前にも「夜、海へ還るバス」を集中連載して単行本1冊にまとめたことがあるが、今回の「トモちゃんはすごいブス」はそれより長くなっている。「大阪ハムレット」や「夜、海へ還るバス」と共通しているのは、大阪が舞台で、大阪弁のやわらかい台詞回しが作品全体の基調になっていること。細くてシャープな線画のトーンと大阪弁のコンビネーションが森下作品の魅力になっていて、これに一度はまってしまうと、もう抜け出せない麻薬のような依存性がある。
中学生の時から不登校の引きこもりになったチコは、ただ一人の家族だった父が亡くなって天涯孤独の身になる。やることもなければ、やりたいこともない。いっそこのまま死んでしまおうか……などと考えていたとき、突然目の前に現れたのが「あなたのお父さんからチコの友達になってくれと頼まれた」と言う謎の女トモちゃん。有無を言わさず同居しはじめたトモちゃんと、生活収入を得るためバイトを始めるチコ。そこで出会ったのが、女の子たちに風俗関連の仕事を紹介している車谷という若い男だった。物語は天涯孤独のチコを中心に、トモちゃん、車谷を合わせた3人の物語として進行して行く。
これは死のうと考えていたチコが新しく生きる力を取り戻して行く話であり、いびつな子供である車谷が一人前の大人へと成長してゆく(のかな?)物語だ。正体不明のトモちゃんが何者なのかも、今後少しずつ明らかになって行くだろう。3人の主人公は誰もが魅力的なキャラクターになっていて、今後が楽しみな作品だ。