すごく期待していたのに、正直、期待外れ。
まず、翻訳。著名な柴田元幸氏ですが、びみょーです。
会話のリズムがまったくない。ピンチョンの小説はいつも会話がおもしろくて、グルーブがあるのだけれども、それがない。
「あなた」を「汝」と訳したり、極力カタカナを使わないこだわりの翻訳
ー例えば「パン」を「麺麭」と「ライフル」を「旋条銃」と訳したりー が逆にリズムを悪くしているようにも思えた。
とはいえ、これは個人の受け取り方次第。こういう変わった翻訳をよしとする人もいるはず。
根本的問題は、その注釈の少なさ。
主人公の二人が天文学者と測量士だから、必然と天文学と測量の専門用語が多くなる。しかし、それにほとんど注釈がない。
さらには、地図がひとつもない。アメリカ大陸を終始横断しているというのに地図がない!
上下あわせて8000円もするのに、あるのは帯にとってつけられたまったく使えぬ人物一覧だけ。
これで”ピンチョン・コンプリート”なんて笑止千万!筑摩や河出のピンチョンの方がはるかに丁寧なつくり。
ピンチョンと柴田元幸というビッグネームに甘えて、出版社が何にもしてねー、そんな感じ。
さらなる改良を求める。ピンチョン全集の1冊目がこれって、いいの?
個人的には佐藤良明訳でもう一度読みたい。