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スコットランドの片田舎に暮らすマクデューイ氏は、獣医をつとめるにもかかわらず、動物に対して愛情を抱かない、孤独で冷淡な寡夫。ある日、娘が可愛がっていた猫トマシーナが病気になった際、彼は見込みがないと判断し、安楽死を強行してしまう。
森の奥で動物を癒しながら慎ましく生きる「赤毛の魔女」。古代エジプトの猫神バスト・ラー。マクデューイ氏の旧友である温厚な牧師。完全に決裂したかに見える親子の関係が、少しずつ変わっていく。
かつてディズニーで映画化されたこともある作品。旧訳版はすでに絶版で手に入らなかったので、新訳で出版されたことが嬉しいです。
マクデューイ氏の仕打ちや頑なさに腹を立てたり、拒絶された父としての苦悩に共感したり、その叫びにホロリとさせられたり、あるいは軽快でユーモラスな、ギャリコらしい筆致に笑わされたりしながら読みふけりました。
ギャリコの小説はどれも、人や生き物ひいては世界に対する、惜しみない賛美と愛情にあふれています。わけてもこの「トマシーナ」は物語の完成度が高い上、読後感もすばらしく、「ジェニイ」がお気に召した方はもちろん、ギャリコを知る最初の本としても相応しいと思います。
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