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トニオ・クレエゲル (岩波文庫)
 
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トニオ・クレエゲル (岩波文庫) [文庫]

トオマス・マン , 実吉 捷郎
5つ星のうち 4.8  レビューをすべて見る (5件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

出版社/著者からの内容紹介

文学を,そして音楽を愛し,美への限りない憧れを抱くトニオ.そのあまりにも細やかな感性は,一少女との恋愛にも堪えられぬものだった.永い放浪の末,文名はあがるが,芸術と生活の葛藤はいっそう強く彼をとらえる.この小説はマン(1875-1955)の若き日の自画像であり,青春の喜び悩み悲しみを,美しく奏でた青年の歌である.

内容(「BOOK」データベースより)

「最も多く愛する者は、常に敗者であり、常に悩まねばならぬ」―文学、そして芸術への限りないあこがれを抱く一方で、世間と打ち解けている人びとへの羨望を断ち切ることができないトニオ。この作品はマン(1875‐1955)の若き日の自画像であり、ほろ苦い味わいを湛えた“青春の書”である。

登録情報

  • 文庫: 145ページ
  • 出版社: 岩波書店; 改版 (2003/9/18)
  • ISBN-10: 4003243404
  • ISBN-13: 978-4003243404
  • 発売日: 2003/9/18
  • 商品の寸法: 14.6 x 10.6 x 0.8 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.8  レビューをすべて見る (5件のカスタマーレビュー)
  • Amazon ベストセラー商品ランキング: 本 - 98,796位 (本のベストセラーを見る)
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美しい翻訳 2004/9/7
By rituko2
形式:文庫
この小説を、自分のために書かれたものだ、などと思わないで居られる人があれば、それは快適であるかもしれないけれど、不幸なことかも知れない。
「今時の」流行にはなりそうもないし、芸術対実人生というのも、あえてそう読む必要は感じないが、どうだろう?

…自分の中のひそやかな自負心、あるいは歪みの、疎外の感覚。つまり自分にとって実に普通の自然の感覚、喜びや関心が、愛する他人には決して理解されないであろうというセツナサと苦痛。
苦痛を愛するほどに若かったかつての私には、かけがえのない小説でしたが。

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26 人中、21人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
なんといっても,実吉捷郎氏の訳がいいのです。トマス・マンは,風景や心象の描写が美しい作家ですが,あの長い文章を美しい日本語にするのは,なかなか難しいと思います。それでも読んでいる側に無理を感じさせない訳,それが,実吉捷郎氏の訳です。

あとがきに書いてありますが,「トニオ・クレエゲル」とは,現代風に言うと,「トニー・クレーガー」というらしいです。でも,やはり「クレエゲル」は「クレーガー」じゃ駄目です。この本を読み終わったあとには,「とにおくれえげる」という言葉自体が呪文のように頭にこびりついているから。

作品中,トニオが憧れの少年ハンスとシラーの「ドン・カルロス」について話をするシーンがありますが,それを読んだら,無性に読みたくなって探し回った経験があります。作品に引用されている本を探して,新しい世界を開拓していく。
それもまた一つの本の愉しみかたでしょう。

このレビューは参考になりましたか?
12 人中、8人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
「僕はわすれてたわけじゃないんだよ、トニオ」とハンスはいって足許の歩道に眼を落した。「ただね、約束したけども、今日はたいていだめじゃないかと思ってただけさ。だってこんなにじめじめして風もひどいんだもの。だけど僕はそんなこと構やしないよ。それに君がこんな天気なのに待っててくれたのは、ほんとにすてきだと思うね。僕はもう君は家へ帰っちゃったのかと思って、おこってたのさ・・・」

優しい日本語。素晴らしい翻訳です。少年の淡い恋の物語。主人公の親友ハンスはあの「ベニスに死す」のアドニスそっくり。「短いリボンのついた、オランダ風の水平坊をかぶっていて、その下から薄色の金髪がふとふさはみだしていた。枯れは並外れて美しい、姿の好い児で、肩が広く腰が細く、陰のない鋭くものを見る銅色の眼を持っている。」永遠の初恋。甘い感傷。それがマンの優しい温かいそしてまるでその情景、その情感にぴったりと嵌り込むような言語による表現、そして寸分違わぬ無駄のない筆致描写の仕方で描かれる。これ以上の初恋物語はありません。

解説は訳者の息子さん。実吉晴夫先生です。音楽者アインシュタインの言葉を引用して「作品の分析というものは、分析された作品を知らない人にとっては何の役にも立たないし、知っている人にとってはいらないというところにその本性がある」。実に謙虚というかシニカルというか、父親が立派な先生の息子に生まれた苦しみ、辛さ、そして自負があります。オヤジに負けてたまるか!しかし、オヤジは立派だった。この野郎!

この気持は、マンのゲーテに対する気持と200%全くもって同じです。
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