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…自分の中のひそやかな自負心、あるいは歪みの、疎外の感覚。つまり自分にとって実に普通の自然の感覚、喜びや関心が、愛する他人には決して理解されないであろうというセツナサと苦痛。
苦痛を愛するほどに若かったかつての私には、かけがえのない小説でしたが。
あとがきに書いてありますが,「トニオ・クレエゲル」とは,現代風に言うと,「トニー・クレーガー」というらしいです。でも,やはり「クレエゲル」は「クレーガー」じゃ駄目です。この本を読み終わったあとには,「とにおくれえげる」という言葉自体が呪文のように頭にこびりついているから。
作品中,トニオが憧れの少年ハンスとシラーの「ドン・カルロス」について話をするシーンがありますが,それを読んだら,無性に読みたくなって探し回った経験があります。作品に引用されている本を探して,新しい世界を開拓していく。
それもまた一つの本の愉しみかたでしょう。
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