皆を笑わすのではなくてバカにされて笑われたのにも関わらず、「ほんのちょっと居場所を見つけられたような気がした」というおちこぼれのグレゴワール少年。そんなグレゴワールを励ますおじいさんの「競争に勝ったのは、カメだった。どうして勝てたか、わかるか?カメには勇気があったからだ。ひたむきで、あきらめなかったから、勝てたんだ。グレゴワール、おまえには勇気がある・・・。わたしにはわかるよ。ものをつくっているときのおまえを見ているからね。おまえが、何時間も何時間も寒いところで木切れを磨いたり、模型に色をぬったりしているのを、知っている」という言葉が胸に響いた。「ぼくの人生をぼくの手で、ぼくの力で動かしていくにはどうすればいいか、ぼくにはなにができるか」グレゴワールが自分に問いかけるきっかけをつくってくれたのもおじいちゃんだった。おじいちゃんのグレゴワールへの言葉は時に優しく、時に厳しい。
グランシャン技術高校の校長に宛てた手紙の中の「ぼくは、そんなに大きくありません、35キロです。でも、35キロ分の希望があります」という文章から主人公のひたむきさが伝わってきた。自分をかわいそがって、何もかもをあきらめてしまっていた主人公に起こった小さな変化が手紙から読み取れた。
「ぼくを助けて」主人公と同じような思いを抱いている子供達はこの日本に五万といるはずだ。グレゴワールには幸いおじいさんがいた。助けの手がなく苦しんでいる子供達はこの作品を読んで勇気と希望を見出せるはずである。おじいさんがテストの時グレゴリーを助けてくれるシーンはありがちと思ったが、頭とはうらはらに心は感動していた。グレゴリーの語るストレートな言葉が私の胸につきささってきたからだ。