読了が近づくにつれ、これほど寂しい気持ちにされたコミックも珍しい。
それほどまでに、愛しいキャラクター達とこの世界にずっと浸っていたい気持ちに
させられる作品だった。
現実世界にヒーローが実在したら、というシミュレーションはウォッチメンと同様だが
同作が読み手に対して「守るべき物」を問う壮大な「ロールシャッハテスト」なら、
本作はまさしく全てが存在する過剰な「トイボックス」なのだろう。
巻末に載せられた短編は、言わば世界観を伝える為のガイド的な役割の物だが、
あたかもカーテンコールの様に、いや刑事ドラマのエンドロールの様に主要キャラが
紹介される事で、これがまた何とも言えず余韻を残す構成になっている。
しかたなく、又1巻から読み直してしまうのだが、何度見ても新たな発見(ネタ)が
あり、正直飽きる事がない。
アメコミ云々という枠を超えて、ここ数十年分の映画、音楽のサブカルチャーに少しでも
親しんだ人には是非読んで欲しい大傑作コミックだ。
併せて、正鵠な翻訳と緻密な解説ブックレットを作成した日本版スタッフにも敬意を評したい。
すばらしい仕事だったと思う。