本のタイトルから、トスカーナの田舎で今以て昔ながらの伝統的な暮らしを守り続けている民家の暮らしぶりを取材した本かと想像してしまいますが、内容は農家が運営する民宿・アグリツーリズモから9軒を写真で紹介するものです。
著者の知識や経験の中からトスカーナの伝統的なスタイルのアグリツーリズモを、選んでまとめたものと思われますが、文章としてはそれぞれのアグリツーリズモの所在地に関する簡単な紹介や、建物やその場所の大雑把な歴史、取材で得られた各オーナーの言葉などを掻い摘んでコメントした程度で、実際に滞在してみてこそ感じるであろう細かい感想や、一定の基準に基づく客観的な評価などは全く無く、ガイド本としての情報量はやや希薄と言えます。
収録された多くの写真も引いて撮った客観的なものが主で、それぞれのアグリツーリズモで目に付いた物を片っ端から撮って載せたという印象を得ました。もう少し収録写真を厳選して、もっと多くのアグリツーリズモを紹介しても良かったのでは? とも思いますし、取材時の感動や思い入れが伝わるような主観的な写真があっても良いかな? と感じました。
しかしながら、この本をきっかけにして試しにいづれかのアグリツーリズモを実際に訪れて、滞在することで大きな感動や充実感を得ることは大いにあることだと思えますので、それを期待して並評価とします。