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トスカの接吻 オペラ・ミステリオーザ (講談社ノベルス)
 
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トスカの接吻 オペラ・ミステリオーザ (講談社ノベルス) [新書]

深水 黎一郎
5つ星のうち 4.5  レビューをすべて見る (4件のカスタマーレビュー)
価格: ¥ 924 通常配送無料 詳細
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商品の説明

内容説明

〈開かれた密室〉である舞台で起きた惨劇!

内容(「BOOK」データベースより)

プッチーニ作曲の歌劇『トスカ』上演中、主演女優のナイフが相手役の首筋に突き刺さった!「開かれた密室」である舞台に、罠を仕掛けた犯人の真意は!?さらに前例のない新演出の予告直後、第二の犠牲者が…。芸術フリークの瞬一郎と伯父の海埜刑事が、名作オペラゆえのリアリズムを逆手に取った完全犯罪の真相を追う。

登録情報

  • 新書: 296ページ
  • 出版社: 講談社 (2008/8/7)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 4061826085
  • ISBN-13: 978-4061826083
  • 発売日: 2008/8/7
  • 商品の寸法: 17.2 x 10.6 x 2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.5  レビューをすべて見る (4件のカスタマーレビュー)
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7 人中、6人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By トップ500レビュアー
形式:新書
プッチーニ作曲の歌劇『トスカ』上演中、主役のトスカが、悪役スカルピアの
首にナイフを突き立てる第二幕のクライマックス・シーンで、事件は起きた。

小道具のナイフがいつの間にか本物にすり替えられていた
ために、相手役のバリトン歌手を殺害してしまったのである。

さらに、演出家が記者会見で『トスカ』の前例のない
新演出を予告した直後、第二の殺人事件が起こり……。

第一の事件は「計画犯による《操り》の失敗が招来した不可能状況」という様相。

己の身勝手な思惑を無理矢理他者に押し付けようとした
計画犯を見舞う、“時限式の運命の皮肉”が、秀逸です。

また、ナイフすり替え犯のフーダニットに関しては、ぬけぬけと犯人の条件を提示
しながらも、それを読者に気づかせない巧妙なミスディレクションが目を引きます。

読後に思い返すと、随所に伏線が張られていたことに気づくのですが、作者の念の
入った“あらため”に騙され、ついその存在を容疑の圏外に追いやってしまうのです。

一方、第二の事件では、犯行現場の鏡に口紅で書かれていたオペラの歌詞
〈これがトスカの接吻よ〉と、死体が、両手を交差させた奇妙なポーズをとって
いたことの意味を解釈していくことになります。

犯人による見立て(犯行声明)なのか、被害者によるダイイング・メッセージなのか、
様々な解釈がなされますが、それをそのまま本作のテーマであるテキストの読み
替えによる解釈の多様性(「誤読する権利」もしくは「夢見る権利」)と結び付けて
いく構成が素晴らしいです。
このレビューは参考になりましたか?
3 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By VINE™ メンバー
形式:新書
神泉寺瞬一郎の活躍する「芸術ミステリ」第2弾の本作品は、オペラ「トスカ」を題材としたもので、2008年発表。

プロローグの10頁あまりは、「トスカ」の舞台の描写、第一幕と第二幕が駆け足で紹介されますが、「トスカ」のストーリーや登場人物名を知らない私には、スッと頭に入って来ず、もう一度読み直してしまいました。
というのも、いきなりプロローグ終盤で「事件」が発生するからで、犯行時の描写は丹念に読んでおかねば、という訳。

その事件とは、舞台上で、主人公のトスカ役の女性が、スカルピア役の男性に、刃物で斬りつけると、舞台用の刃物がいつの間にか「本物」にすり替えられていて、男性は失血死してしまう、というもの。
どうやって「刃物」がすり替えられたのか、ハウ・ダニットが提示されます。

心配された文章についてですが、次の第一章以下は、サクサクと読め、しかもオペラにまつわる「芸術論」が物語を彩り、「トスカ」は観劇したことないけれど、その劇の神髄が分かったような気にさせてしまうのは、この作者の巧みなところだと感心しました。

また、先に読んでしまった、「芸術ミステリ」第4弾、「ジークフリートの剣」、こちらもオペラが題材になっていますが、その作品の伏線が随所に張られているのも、眼を惹きました。
本作品発表時に、かなりの構想が出来上がっていたのですね。

そして、肝心の「ミステリ」の部分ですが、ハウ・ダニットという点では斬新さはありませんが、思いもかけぬ犯人像が示されるところは、高評価できます。
また、物語後半で起きる第2の事件と併せ、その真相が、「芸術論」と見事に融合しているところは、前作「エコール・ド・パリ殺人事件」以上かも。

あとがきには、本作品で取り上げている「トスカの新解釈」を舞台にかけてもらえないか、という作者の言葉。
相当な「オペラファン」なのだな、と感じました。
このレビューは参考になりましたか?
By suihou トップ50レビュアー
形式:新書|Amazonが確認した購入
オペラ歌手の殺人ミステリです。以前にバーバラ・ポールの『気ままなプリマドンナ』を読んだことがありますが、確かトスカニーニが出てくるクラシックな話だったのに対し、こちらはまさに現代のオペラ事情を踏まえたうえでの事件で、ぐいぐいひきこまれます。

『トスカ』上演中に、警視総監スカルピアが本当に筋通りトスカに刺殺されてしまいます。そしてそこには、カリスマ演出家のリアルすぎる演出がからんでいました。
 『エコール・ド・パリ殺人事件』にひきつづいて、刑事の甥の探偵役、神泉寺瞬一郎の口から出る、現代のオペラ演出にまつわる的確な解説と熱い口吻にとりこまれて、ひたすら読み進めました。作中の演出家、郷田自身がぶちあげる過激な演出論も、この世界を少し知っていれば頷けることばかりで、メトロポリタンオペラで彼が『蝶々夫人』を上演したときのスキャンダラスな例などは、いかにも現代演出を象徴する話だと思われました。しかも、このあたりが単なる蘊蓄ではなく、動機や事件の解釈にもからんでゆくのが、著者の巧妙な仕込みです。

 二つの殺人とそしてその謎解きですが、第一の殺人の謎解きにはやや唐突感が(意外感と言ったほうが正しいかもしれません)ありました。しかし、そのハウダニットを、瞬一郎が音楽史的(上演史的)必然性として語る論理には重みがあり、第二の殺人も含めて、ヨーロッパ古典文化の歴史の厚みに説得された、という感じです。

 ミステリながら、トリックを生み出す巨大な母体であるヨーロッパ文化のコクと密度が圧倒的で、作者のいう新演出(新解釈)のオペラを一本見たような満腹感がありました。

 後発の『ジークフリートの剣』を先に読んでいたのですが、時間系列としてはこの『トスカ』のほうがあとです。話題のジークフリート歌い、テノールの藤枝が帰国して、予告どおりカバラドッシ役を歌っているうえ、殺人事件で中断した舞台をすくうため、幕外で、「星は光りぬ」のアリアを熱唱するなど、オペラファンにはたまらない展開もあります。

 著者は美学の専門家であろうと思われますが、今後も芸術の修羅にとりつかれた人間ならではの動機とダイナミズムを持つミステリを期待しています。
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