トコトンやさしいシリーズは、馴染みのない工学系分野の事柄を理解するのに一番分かりやすい出版物だと思っています。2ページで1つの項目を紹介・解説し、説明文1ページ、図解1ページという構成になっていますので、興味のあるところから読めますし、関心のあるところだけ読んでも理解できるようになっています。基本的に門外漢の人たちのために書かれていますので、平易な語り口が特徴です。
本書は、そのシリーズの中の「薄膜」を取り上げています。本書に書かれていますように、21世紀は、液晶やプラズマディスプレイなどの平板表示装置の時代と言われています。薄膜の技術革新がさらなる進化した薄膜を作ることで様々な分野の水準を上げていることが理解できました。
真空の定義や測定法、真空と薄膜の関係、真空装置の使い方は、ちょうど知りたい事柄でしたので、関心を持って読みましたし、一応理解できたつもりです。
章としては、人類の夢を実現する薄膜、薄膜作成に欠かせない真空、薄膜の構造と性質、その作成法、蒸着法で作る薄膜、スパッタ法で作る薄膜、気相成長(CVD)法で作る薄膜、めっき薄膜、エッチングと平坦化の技術、となっています。
筆者の麻蒔立男氏は、静岡大学工学部電子工学科卒業後、日本電気株式会社に入社。工学博士を取得し、東京理科大学教授を経て、執筆時に東京理科大学嘱託教授という略歴の方です。ずっと薄膜の開発に携わり、教鞭も取られていますので、深い学識に裏付けられた解説だったと思います。