人間は社会的動物であると言われる。したがって、私たち人間にとって「生きる」とは、「社会のなかで生きる」ことに他ならない。
前世紀に社会学が独立した学問分野として成立して以来、私たちが生きている「社会」については、さまざまな分析がなされてきた。だがその反面で、「社会のなかで生きる」ということの意味、つまり社会における「生の意味」は、社会学によって真剣に提起されてきたのだろうか? 社会学はそもそもこの問いに対して無力なのだろうか? 著者が社会学に突きつける根本的な問いはこれである。
しかし著者によれば、社会学という新しい学問分野を切り開いた創始者たちが取り組んだのは、まさにこの「社会的生」の意味の問題に他ならなかった。こうした観点から社会学の成立を歴史的に解明した本書は、ともすれば現代の社会学が見失いがちな、社会への本源的な問いへと私たちを導いてくれる。
専門書でありながら、論旨は明快で読みやすく書かれており、一般の読者にも大いにお勧めできる。もちろん社会学を学ぶ者にとっては、社会学をその起源に立ち返って問い直すための絶好の書といえよう。本書の問題提起を受けて、「生の哲学」の影響を受けたG・ジンメルが、なぜ社会学の創始者になりえたのかを追究する本格的研究が登場することをドイツ社会学の専門家に期待したい。