トウカイテイオーっていうのは、私の中では初期の頃、ダービーを勝つまでの安田騎手とのコンビが印象的だ。いわゆる童顔のハンサムホースで、パドックで他の若駒がいれこんでるのに、まるで鼻歌まじりにあの独特のふにゃふにゃとした歩き方で、悠々と周回してた。無名に近かった安田騎手を背に乗せて、何度も嬉しそうに振り向いて彼を確かめる。そして楽しそうに走り、皐月、ダービーを勝利し、彼にクラシックをプレゼントした。
陽気な奴だ。そう思ってた。何度も骨折し、悲劇のヒーローみたいに扱われたが、彼はいつもどこか鼻歌まじりの雰囲気があった。ジャパンカップ。ゴール前、外国馬をねじ伏せた時も、ゴールするなりけろりとしてた。
あの奇跡の有馬記念。不遜で知られた田原騎手を号泣させたあの1年ぶりのレースでの勝利。抜け出す時に他の馬をはじきとばすような勢いだった。そしてゴール前、絶好期のビワハヤヒデをねじ伏せる。
涙とコールの中山で、彼だけが飄々としてた。やるときゃやるさ。そんな感じで。私は思うのだが、トウカイテイオーはレースが、そして自分に乗る騎手がとても好きだったんじゃないかと思う。終わってしまえば、それまでのこと。レース後のテイオーはいつもそんな風に見えた。