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トウェイン完訳コレクション  アーサー王宮廷のヤンキー (角川文庫)
 
 

トウェイン完訳コレクション アーサー王宮廷のヤンキー (角川文庫) [文庫]

マーク・トウェイン , 大久保 博
5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容紹介

アメリカ人ハンクが昏倒から目を覚ますと、そこは中世アーサー王の時代だった! 現代科学の知識で魔術師マーリンに対抗し次第に王宮での地位を固めていくが…。SF小説の元祖とも呼ばれる幻の名作が改訂版で登場!

内容(「BOOK」データベースより)

コネチカット生まれのちゃきちゃきのヤンキー、ハンクが昏倒から目を覚ますと、そこは中世円卓の騎士たちの時代だった!科学の知識で、魔術師マーリンに対抗し、石鹸や煙草作りに始まり、ついには新聞や電話網まで整備して、次第にお人好しのアーサー王の側近として地位を固めていくが…。奇想天外なストーリーでSF小説の元祖とも呼ばれ、ひとつの価値観に凝り固まる現代文明を痛烈に批判する幻の名作が改訂版で登場。

登録情報

  • 文庫: 573ページ
  • 出版社: 角川書店(角川グループパブリッシング); 改訂版 (2009/12/25)
  • ISBN-10: 4042142087
  • ISBN-13: 978-4042142089
  • 発売日: 2009/12/25
  • 商品の寸法: 15.2 x 10.6 x 2.4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
  • Amazon ベストセラー商品ランキング: 本 - 45,808位 (本のベストセラーを見る)
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7 人中、7人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
一見つまらなそうなタイトルをしていますが、ものすごくおもしろかったです。

アーサー王の時代(岩波文庫の『中世騎士物語』なんかを参考にしてください)
にものすごくどうでもいいような事情でタイムスリップしてしまったアメリカ人が、
そこで大活躍するドタバタコメディ・・・かと思いきや、
主題はそこにはなく(笑えるところは相変わらずものすごい笑えますが)
人間の変わらない汚らしさ、醜さ、善良さ、善良さがひっくり返っての悪さ、
そういうものをアーサー王の時代と"比較考証"するのではなく、
"どれもこれも全く忌々しいくらい同じだ"という視点で、
もって次々と暴き出していく小説です。

トウェインの主眼も、あらかじめ用意された「アーサー王物語」という伝説のなかに、
アメリカ人をタイムスリップさせたら、
というよりも自分自身がもしそこにタイムスリップして、
善意でその場所をアメリカ的な自由な共和国に変えようと挑戦すれば
どうなるだろうかということを、筆力の及ぶ限りシュミレーションしてみる、
というところにあったようで、随所にトウェインの心の叫びが刻まれています。

ストーリーは『ハックルベリ・フィンの冒険』や『トム・ソーヤの冒険』と同じく、
練りに練られたプロットを叩きつける、みたいなものではなくて、
物語のある部分は長く、他のある部分はあっさり短く、
と長さのばらばらな部分がたくさんあるのを、時系列順に並べてみた、という感じで、
そのせいかどうも最後の終わり方が尻切れトンボのように思えなくもないですが、
その長く書かれている部分の箇所の勢いがものすごいので、
作品全体としてもすごく印象に残りました。

またこの作品を読むことでようやく、
トウェインの「ペシミスティック」の意味がわかりました。
トウェインは人生に悲観していたのではなくて、
人間、それもある種の不快な人間だけではなく、人間がただ人間として、
いつまでもだらだらこの世の中に存在することに、
それがもたらす数々のむなしい出来事に悲観していたようです。
この悲観の兆しのようなものはすでに
ハックやトム・ソーヤの冒険の話の中にも出ていたので、
もしあの2作品の中で「えげつない。」と思った部分があった方は、
この作品はそれがより強烈に突き進められて、
深度を深めた内容なのだと想像してください。
あの『公爵』や『王様』よりもひどい目に遭う公爵と王様がわんさかでてきます。

おそらくこの読後の強烈な印象はタイトルだけを眺めていても
絶対に沸いてこない、想像すらつかないものだと思うので、
気になる方はぜひ一読をオススメします!
このレビューは参考になりましたか?
5 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
子供のとき家にシドニー・ラニア編の「アーサー王と円卓の騎士」という綺麗な装丁の本があった。
本をめくるたび、アーサー王や、湖の騎士サー・ランスロットの冒険に胸を躍らせたものだった。

小学校高学年のとき、学校の図書館で、「アーサー王宮廷のヤンキー」(微妙に本のタイトルは違ったかも知れない。。。)を見つけ、アーサー王と円卓の騎士たちの物語だと思い、借りて読んだ記憶がある。

こちらは一転19世紀のアメリカ人が工場内の喧嘩でバールの一撃をくらい、6世紀のアーサー王の時代にタイムスリップしてしまうという斬新なもの。
19世紀の科学技術と歴史知識を背景に、アーサー王宮廷でのしあがっていく、SFファンタジー成り上がり物語。
アーサー王をはじめ、ランスロットも、ガーウェインも、高潔な騎士たちは、愚かで頑固で、悪しき旧弊の代表として扱われていた。
騎士道精神に胸躍らせていた少年が、がっくりきたかというとそんなこともなく、今度は単身旧時代の改革に挑戦するヤンキーの姿にわくわくしたものだった。
恐らく、小学生のときに読んだのは、字の大きさや本の厚さからして、子供向けの省略版だったのではないかと思う。

今読むと、6世紀の政体を滑稽に描写しながらマーク・トウェインの時代に至るまでの政治や道徳、教育といったものを風刺する形になっているのが見てとれます。
人間は若いうちから教育をし続けなければ、ただちに愚かな人間となってしまうという教訓めいた話も多いし、時代が時代なので人の命が奪われるシーンも多いですが、語り口やストーリーがユーモアに溢れているので、不思議と明るく読めてしまう楽しい作品です。
このレビューは参考になりましたか?
2 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By アルアシール トップ1000レビュアー
形式:文庫|Amazonが確認した購入
 中学生の頃ですからもう20年以上前のことですが、そのとき読んだおもしろさが忘れられずに、あらためて書架に加えるべく購入しました。

 ただし、そのときの版は少年向けともいうべき「アーサー王とあった男」。それに比べると完訳版にあたる本書はさすがに緻密で大人向けの読み物です。テンポのいい少年向けをとるか、文明批評も含む格調高い本書とするかは好みの別れるところですが、基本となるプロットは当然ながら共通していて、いわゆるタイムスリップもののはしりともいっていい作品です。

 あの「トム・ソーヤ」や「ハック・フィン」で有名なアメリカ文学史における巨人、マーク・トウェインがSF?そんなところも見所でしょう。 19世紀の現代人(といっても21世紀の現代からはすでに旧時代人ですが・・・(^^;))が6世紀の初期英国にタイムスリップするという、これまた今では陳腐すぎて小説の練習台としてもちょっと躊躇してしまう設定なのですが、トウェインが採用した当時はあまりの斬新さに自分でも筆のすすみをとめられなかったのでしょう、1000年以上も前の時代で現代の科学技術をみせつけるオラオラ的な描写を〜でもそこはさすがに超一流の文学者らしく全くいやらしさのない爽やかな筆致を保ちつつ〜縦横無尽に展開して読ませてくれます。

 主人公は工場の職長であり獣医の知識もあるという極めてプラグマティック(≒使えるやつ)な設定なので、彼の技術は中世の人々にとってまさに魔法以外の何ものでもなく、事実、あの伝説の大魔法使いマーリンとも対決しちゃったりとまー役者と設定に事欠かないこと。これだけそろって書くのがトウェインなのですからまさに鉄板です。まちがいない。
 
 掛け値なしの娯楽作品で、しかも格調がそこはかとなくひそむ、そんな作品だと思います。

<補足>
 少年版とでもいうべき「アーサー王とあった男」は除くとして、手元にある3つの訳版について少しだけ補足しておきます。
○龍口直太郎訳(創元推理文庫、1976年初版)
 小倉版とほとんど同時期だけあって似た感じですが、人物のセリフ部分の訳は若干自然かな。逆に、地の説明部分には(中世の雰囲気を出すためにわざとだと思うけど)やや文語的な語彙が多いような気がします。
○小倉多加志訳(ハヤカワ文庫、昭和51年発行)
 龍口版と似た感じだけど少しセリフ部分が固いような感じ。でも、そんなに差はありません。(要は最初にどっちを手にするか。)
○大久保博訳(角川文庫、平成21年発行、本書)
 1980年版の、さらに改訳版。今の読者に配慮しての改訳版だけあって、さすがに前二者よりもさらに読みやすいです。活字も大きめになっています。

 楽しい作品だけに、訳文の雰囲気から読むのをあきらめてしまうのはもったいないので、大久保版(本書)を選ぶのがいいかもしれません。いっそのこと「アーサー王とあった男」を読むのもおすすめです。
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