いや、素晴しい映画だった。また観たいと思うし皆に勧めたいと思った。
想像しうる限りの事象、絵空事を映像にできてしまう現在、こんな手法で近未来を見せるとは、目からウロコが落ちた。アルフォンソ・キュアロン監督、素晴しい。脚本もさることながらそれを表現する映像がスゴイ。カメラが人物に限りなく近い、要所で使われる長回しがリアルに迫ってくる、まるでドキュメンタリー。実際この物語は絵空事ではないな、と観るものに思わせる。現在地球上で起こっている環境破壊、紛争、核問題、国家間格差、社会的、人種間格差、人口問題などどれもこのまま放置していればそのうちこの映画のような世界になるかもしれないことは十分想像しうる・・・それで戦慄しない人はいないだろう。子供が生まれないのが問題ではない。子供が無事生まれるかどうかももはや問題ではないのだ。この映画のラストには何の救いも示していない。子供が一人生まれたからと言って、その背後は戦場だし世界は崩壊している。その子が生き延びる保障は何もないし、その子供一人に人類の未来を託せるとも到底思えない。それでも私たちは必死に希望を見出そうとする、その頼りない母子が生き延びてくれることを心から願うのだ。
俳優さんたちが上手い人たちで、作品にリアリティをもたらしている。とても良かった。
サウンドトラックも最高。マイケル・ケインの扮する元ジャーナリストの隠れ家でかかる曲や、警報代わりに鳴り響く何とも変わった音がおもしろかった。