カナダロケした全編英語作品ですが、もたいまさこが、唯一の日本人キャストとして出演。もたいまさこ演じる「ばあちゃん」が英語の台詞を喋らず、全編ほとんど無言で通しているのが脚本上の工夫と言えば工夫。ほとんどしゃべらない「ばあちゃん」だけに、彼女が深いため息をつくシーンは台詞と同等の重みを持つわけだし、彼女が孫に向けてたった一言だけ台詞を発するシーンがとても印象に残ります。
家族なのに異文化を背景にもつ祖母と、それぞれ問題だらけの子供たちのとぼけた交流を、のんびりじっくりと描いてゆきます。タイトルであるトイレにまつわるストーリーも、家族の物語を盛り上げる役にはなっていません。「トイレ」がその異文化交流の難しさの象徴となっているのかな。
台詞を語らぬもたいまさこのおばあちゃんの、どこか和的な癒しの雰囲気が魅力の作品といったところ。そして見終わったとき「なんだか知らないけど、励まされた気分」になります。
荻上監督の作品らしく、登場する食べ物が魅力的です。今回は、ギョーザにしたところがなかなかの妙ですね。みんなで作って食べられるというのがいい。今回もフードスタイリストの飯島奈美が担当しています。
荻上監督作品の「かもめ食堂」と「めがね」が好きな人は、本作も気に入ると思います。でも「かもめ食堂」こそ面白いと思ったけれど、「めがね」はそれほど面白いと思えませんでした。本作は、「めがね」よりはイイけれど、「かもめ食堂」は超えられなかった映画だと思います。
映像をつなぐセンスはいいし、個性もあるし、映画作りのテクニックも感じられるのに、ちょっと技巧に走りすぎ、ナチュラル感がない印象を受けるからかな。