表題のとおり、普段われわれがあまり話題にしたくないもののひとつであるトイレを、イギリス在住の著者が世界各国を取材しまとめたものが本書である。
日本のシャワートイレ(本書ではロボットトイレと呼ばれる)から、現在も普通に屋外で排せつをするインド、絶望的に改善できないアフリカのトイレ事情まで世界各国を取材している。
また、中国のあの悪名高い扉のない公衆トイレを実際に使用しながら、犯罪抑制など様々な事情から削減されているアメリカやイギリスの公衆トイレのほうが問題が多いという指摘は面白い。
本書の中でもっとも考えさせられるのが、アメリカの下水汚泥を「バイオソリッド」という名称で肥料として再利用としているのにかかわらず、そこに含まれる文明社会から生み出される数々の化学物質や除去しきれない細菌類が混入しているために引き起こされている農村地帯の汚染の実態である。
これからの下水処理を考えるにあたり、最終章にでてくるNASAの尿を飲み水に変えて使用している話が象徴的である。
環境問題を考えるとき、われわれの排泄物をどう扱っていけばいいのか。大きな問題提起を与えてくれた本である。