物事を理解していく上で、その物事を表しているとされる大量の情報を、意味ある情報に転換することが重要である。いわゆるデータ分析とは、こうした転換プロセスにおいて活躍する重要な役割をもっている。本書は、大量にある情報を意味ある情報に転換する方法を平易に紹介してくれる良書である。内容としては、単なる数値情報の集まりを分布化する方法、さまざまな平均算出方法、データの広がりなどを表す分散・標準偏差の概念、相関と因果関係の問題、データを時系列で分析していく方法、グループの違いを分析する方法、これらを通して、意味ある情報を創出する方法が紹介される。
本書の特徴的な点の一つは、平均の種類が単なる説明にとどまらず、実例を通して理解を深めてくれる点である。幾何平均などがどのような状況で用いられるべきなのかなどが理解できる。これは他の本には無い点であった。二つめは、時系列分析を分かりやすい言葉で紹介している。特に、季節変動・循環変動などを抽出する方法の紹介などは、参考になった。三つめは、新変数を作り出すことの重要性が主張される点である。CPI・エンゲル係数・GNPなども、こうした文脈に位置づけられ、こうした新変数創出とその論拠が、新たな現実世界を理解していく道具になるということである。
注意;こうしたデータ処理は広く統計学の分野で展開されるが、本書の特徴は、その統計学の中でも記述統計に特化した内容である。それゆえ、分析結果から「世論がそのような傾向になっている」という推測統計の領域までは踏み込んでいない。この点は注意が必要。