さて、この本を素直に読んだ方は関係モデルの真価(真のデータモデルと呼ばれる由縁)を理解できたと思いますが、
同時に関係データベースと呼ばれている製品群が、実は関係モデルと全くの無関係(自然数上で適用される論理体系を
複素数上で考えているようなもの)であることに愕然としたと思います。
我々に残された道は、
1.SQLが持つモデルに相応しい『まともな』理論体系を作る。
私の知る限るそのような論理は存在しません。
2.SQL上で関係モデルを『実装』する。
これがもっとも現実的な手段でしょう。ですが、この本には全く
『SQL上で関係モデルを効率的に実装する』手段が書かれていません。
当然ですね。関係モデルの本であり、SQLの本ではないのですから。
しかし、別の道にも気がつきます。関係データベースと呼ばれない製品群上で
関係モデルを実装する事も可能です。当然ながらそんな方法は
この本には書かれていません。
3.真の関係データベースと呼べる製品の開発を行う。
この本を読んでいるとむしろ、関係データベースをそのものを
作りたくなって来ますが、そんな力が自分に無い事に気がつきます。
この本を読むと自分の置かれている立場を理解できますが、正直なところ、それをどのように現状に利用できるか(関係データベースと
呼ばれている関係モデルとは無関係の製品群をうまく扱うか)と言う事には全く言及されていません。
当然と言えば当然ですが、我々には生活があり、それら製品を現状では手放す事は出来ないでしょう。
この本を読めば、我々に必要なのが関係モデルへの理解ではなく、「SQLが持つモデルに 相応しい『まともな』理論体系」であり、
関係モデルへの理解は(ある種)不要であることも気がつきます。そしてそのような『まともな』理論体系が存在しない事にも気がつきます。
(『まともな』理論体系が存在すれば、それら製品群におけるオプティマイザはもっと安定的で効率的な実行計画を生成できるでしょう?
だからそんなものは無いんです。)
この本を読めば、結局我々が出来るのは、SQLとDB製品の機能で現実世界の問題をどのように解決できるかを、
ひたすらに日々考えるだけで、不変的な知識は得られない事がよく分かります。
そのような現実を知りたくない人は読むべきではありません。私は読むべきではなかったのかもしれません。