新書界の大ヒットとなった『「社会調査」のウソ』(文春新書)の著者による「社会調査入門」。
内容は、マスコミによる社会調査を取り上げた叩き斬りまくった前作に比べ、力点が「科学」、そして「社会科学とは」なんぞや!?に置かれている点が特徴。
今回は、「社会調査」ではなく、「非科学」を相手に戦っておられる、という印象。
特に、第1章「社会科学における「事実」認定プロセス」に書かれているような内容は、これは社会科学を学ぶすべての学生にとって必須の習得事項だ。
これらを踏まえていない卒論は、おおよそ科学的とは言えない(極限すれば、エッセイにすぎない)、ということは覚えていて損はない。
第5章の「リサーチ・リテラシーとセレンディピティ」には、著者の主張が凝縮されており、内容はまっとうだが、
本書が若者向けのシリーズであるからか、
学長というお立場もあってか、いささか、説教臭いビジネス書を彷彿させるあたりが好みの分かれるところかも。
それにしても、著者の文章は、あいかわらず、実にスパイスが聞いていて読み飽きない。
また、随所に登場するいしいひさいち氏の4コマ漫画の配置も的確。巧い。
似たような内容を扱う社会科学研究の入門書と比較すると、新書である本書はもちろん内容は浅い。
でも、読み手に実際に何が伝わるか、ということにどれだけ配慮されているかという点を、高く評価したい。