まずは、巻末の著者プロフィールを見てほしい。その写真から人柄が容易に想像されることだろう。
さて、今回発刊された「デンマークの教育に学ぶ 生きていることが楽しい」を読んだ。すがすがしい文体で書かれた読みやすい本である。
読んでいく中で、デンマークという国と日本という国の違いを強く感じた。それは、歴史であり、その歴史から来る国民性であり、教育制度であった。また、人口や風土もそのなかの一つである。その内容を教育という視点から就学前〜就学後までを明快に記している。私は読んでいて教育観の違いを一番に感じた。0年生(未就学児;日本で言う年長さんは0年次としてプレ教育を受ける)〜8年生(中学校2年生)まではゆったりとした流れの中で育まれていく。通知表もなく、教師、子ども、親の対話の中で教育を進めていく。ただし、9年生(中学校3年生)になると職業学校にいくか普通学校にいくか、または10年生(1年間の猶予時間;9年間で足りないと感じる者は1年間の就学が認められる)になるかの選択がある。その時には、個人面談をしたり、成績がついたりと忙しくなるようである。しかし、教育に幅があるのは、子どもたちへの可能性やそれぞれのスピードを認め保証していると思う。また、「民主主義」という言葉が頻繁に登場する。その民主主義をすすめていく上で、テーマ学習という学びかたがおもしろい。日本で言うところの総合的な学習の時間であろうか。課題を追求していく中で何かが起こったとき、どう乗り越えるか、そういうことを育てていく学習である。民主的な社会の形成者の一人として身につけていきたい力である。
さて、福祉国家というと福祉も厚いが税金も高い、という印象である。確かに税金は高いが取られる観じではなく、払いたいと思えるくらいに国民に返ってくる。そういう仕組みになっているようだ。
かなり簡単に、一部分を抜粋して述べた。しかし、以上のようなことをはじめとして丁寧に人との関わりを中心に据えて述べられている本である。また、英語も併記してあるので、日本語か英語が使えれば読める。非常に読みやすい文体であるから、ページも進みやすい。日本の教育や社会を客観的に眺めて見るための良書である。是非、皆さんもご一読をおすすめする。
今回の「デンマークの教育に学ぶ 生きていることが楽しい」は“子どもとともに生きる幸せ”シリーズの第二巻である。続刊を期待する。