外山恒一は都知事選の印象が強くて、キワモノ扱いされているところで損をしていると思います。
この本の表紙も、その言葉を素直に読むなら、これまでの左翼・右翼のおかしなところに
ついて行けない「普通の感覚」の持ち主の興味を引いて止まないものになるだろうに、
キワモノを期待すると、何となくゲテモノに思えてしまいます。
ですが、内容は真摯なものです。
たとえば、本書で最も強い印象を受けた千坂恭二の論文(この人もリアルはキワモノっぽいですが)。
国を憂うはずの右翼が体制維持に奔走し、左翼の方が国を憂い改革に精を出すねじれを指摘していますが、
この視点には目から鱗です。なるほど、だから「僕ら」は右翼にも左翼にも共感できないんだ、と。
この国がおかしいと誰もが思っている、でも誰もが何も出来ないまま現状を追認している。
そこから抜け出すためのヒントがこの本にあるのかもしれません。
難しい論文ばかりでなく、柔らかめの内容もあるので、意外と読めると思います。
最後に、「普通の感覚」とか「僕ら」といった言葉を気持ち悪い言葉と感じる諸兄は、
このレビューを信じていいと思います。