80年発表の12作目。プログレ系の音楽と言うと最初はクリムゾンやイエス、EL&Pなどの他の大御所に夢中になり、そんな時期だとジェネシスなど曲も地味で演奏もズバ抜けてうまいわけでもないために最初は聞くことは少ないのだけど、徐々にその魅力が分かり出し、最終的にはプログレ的な音楽と言うとジェネシスを中心に聞くことになる人は多いのでは?そして徐々にプログレの熱が醒めてくると、このあまりプログレっぽくない本作のポイントがグーンと上がってくる。このアルバムは数あるジェネシスの名作の中でも最も英国的で美しいメロディの詰まった名盤であり、むしろプログレ嫌い人にぜひ聞いてもらいたい。プログレというカテゴリーさえ無視すれば、これほどシンプルで良いメロディーが詰まったアルバムはないと思う。個人的にはこのアルバムと『WE CAN'T DANCE』が、絶対に手放せない作品。もちろん他のアルバムも大好きでたくさん聞くのだけども、この2作は別格。
ただし・・・欲良く聞くと作品としては実に中途半端であり、プログレもどきのどっち付かずといった趣はある。エピローグとプロローグを持ってくるのはピーター脱退後から一貫した手法だが、これも何やら無理矢理っぽいし、名曲7.は思いっきりニュー・ウェイヴっぽく、カッコいいのだけどファンタジーの世界とは無縁。
曲は全曲素晴しく、特にバラード系の曲 (6.とか10.) は感傷的なメロディが心を打つ。フィルのソロとはまた違った英国ポップの宝石箱・・・それがこの作品。あとサウンド的にはペダル・ベースの音が結構良いのとフィルのドラムがかなり新鮮な音を出していると思う。昔は本当に興味のない作品だったけど、今は一番好き。私は死ぬまで聞くでしょう。