The duellist demands satisfaction. Honour, for him, is an appetite.
This story is about an eccentric kind of hunger.
It is a true story and begins in the year that Napoleon Bonaparte became ruler of France.
ハワード・ブレイクのあの震えるような弦楽とともにNa.を聞くと
なぜか中公文庫版『中世の秋』の扉後書き、江藤淳「歴史を現代の恣意的投影でなく、ある厳しい完了ととらえる」という言葉を思い出します。
この映画は「決闘に対する奇妙な渇望」を軸に、ナポレオンの時代そのものをミニマリズムでフィルムに収めた野心的な作品です。
同じ題材を巨大予算で狙ったキューブリックやボンダルチュクとまた違ったアプローチでしょう。
フィルムは一見、1800年から1815年にかけての二人の仏軍軽騎兵の決闘を映し出すだけです。
Kキャラダインは育ちがよく「理性」にあふれた有能な青年士官であり、かたや
Hカイテルは革命がなければ村の鍛冶屋がせいぜいの(私じゃありません、原作原文がいうのです)「情熱」の私生児。
二人は決闘を繰り返しますが、前者はやがて穏健派ベルナドッテ元帥幕僚となり、帰国貴族を娶り、王党派とも和解。ナポレオン失脚後は王政復古時代のルイの軍隊指導者となり、栄達します。
後者は皇帝への忠誠心でこれ見よがしに周囲を威圧しますが、100日天下に敗れて、逮捕されます。パリ郊外で失脚間近いフーシェの監視下にはいり貧困に苦しむ晩年です。
それぞれ正統と簒奪、フランス革命が王政復古に収斂していく時代の典型であり、画面の1カット1カットに、繊細なディテールが盛り込まれています。
ラスト、決闘に敗れ屈辱にまみれたカイテルの陰鬱な姿が、そのまま「セントヘレナ島のナポレオン」のイコンをなぞる瞬間、映画は<ナポレオンの時代とその終焉>の巨大な全貌を現します。
暗転、エンドタイトルの、あの抑えていた感情があふれ出すような名曲は、例えばバリーリンドンのサラバンドとも違う、<歴史の悲しみ>という奴でしょう。
一夜の夢が覚める寂しさです。