始めはあまり期待せずに見始めたのですが、途中からどんどん引き込まれていきました。この映画はカメラワークが断然いい!加えて色の使い方や舞うがごとくの剣術シーンなど、映像美が優れています。でもチャン・イーモウ監督の「HERO」ほどには恣意的に作られた映像美というわけではないので、見ていて違和感がありません。久々に映画の醍醐味を味わわせてくれた作品でした。
圧巻は酒宴のシーンでしょう。芸妓たちの衣裳の鮮やかさ、翻る衣に合わせて展開する巧みな場面展開、そして刺客の見事な剣舞。息を呑む美しさでした。
そして、とてもせつなく哀しく、胸の痛む愛が描かれています。女性的とも思えるくらい繊細で美しい動きを見せる悲しい目の刺客と、女っ気のカケラもないような男まさりで乱暴者の左捕庁のナムスンが敵対しながら次第に惹かれ合ってゆくのですが、結末がなんともやるせないです。この二人の場合はこれしか無かったのだろうと思っても悲しくて、とても胸が痛みました。そのくらい、ハマって見てしまいました。
最後に二人が別れの剣を交わす場面、大変切なく美しいです。「舞いを舞っているようにも、愛を交わしているようにも見えた。」と劇中の目撃者が語っていますが、本当にその通りの、見応えある場面です。言葉に出来なかった想い、伝えられなかった気持ちを、最後の最後に二人が剣を交えながら相手にぶつけているんですね。言葉にする代わりに、ひと振りひと振り‥。ものすごく切なくて、幻想的な美しい場面で、心に残っています。