この「DUET」は、ビクター盤、ユニバーサル盤と2枚あるのだけれども、このユニバーサル盤のほうがクラシカルな色彩が強いように思う。そのような印象を受けるのは、ビクター盤・ユニバーサル盤に共通して収録された「ヴァルス」のほかに、「プレイ」、「エロエス・シン・ノンブレ」の2曲が入っていることによるのだろう。
まず、「プレイ」では、塩谷が書いたフランス近代風の主題に引き続いて、小曽根が、あたかもロマン派のクラシック作品、たとえばショパンの夜想曲の一つであるかのようなピアノを弾いている。この曲の塩谷自身の演奏(塩谷哲「WISHING WELL」に収録)や小曽根のかつての解釈・演奏(「小曽根真The Trio/Reborn」に収録)もそれぞれに素晴らしいのだけれども、ここでの言わばロマン派的解釈・演奏も大変素晴らしく、その美しさには息を飲む。
小曽根作品である「エロエス・シン・ノンブレ」については、何に例えたらよいのかわからないけれども、メロディアスで、情熱的で、壮大なスケールを感じさせる極上のピアノ音楽に圧倒される。これは、小曽根の技巧とロマンティシズム、そして塩谷の技巧とロマンティシズムがダイナミックに融合した、究極・極上のピアノ音楽である。私は、これを大阪ブルーノートで生で聴けた人が羨ましくてならない。
その他の曲では、「憧れのリオデジャネイロ」がお薦め(このユニバーサル盤ではデュエットで、ビクター盤では小曽根のソロで収録)。(敬称略)