最高傑作だと思うんだよね。真面目な話。この前作はボロカスに叩かれた問題作だが、あれはあれで良かった。ゴツゴツした異形のリフとリズムと歌が渾然一体となって荒れ狂う様は。しかし、あれのインパクトと拒絶反応が大きかったのか、あれよりずっとメロディアスで端正な仕上がりを誇る本作まで、モダンすぎだの聴きにくいだの、悪印象が強く、そうしているうちにロブが復帰してしまって、本作は歴史の闇にうずもれてしまった。しかし、それはあまりに惜しい。たとえば、ここ2作ほどのメタリカの作風、あるいはKORNの近作などを聴けば、この作品こそが、2000年代のHMのあるべき姿をいち早く提示していることがわかる。すなわち、「歌メロはメロディックで、ギターも整合感ある古典的HMの手法に基づくが、リズム構築や音作りの面で近未来的モダンさを主張して、それら新旧要素を上手く組み合わせる」。というのが、現代HMにおける正統的手法であり、プリースト自体も、ロブ復帰後の音の基本になっているのがこの手法だ。ロブ復帰後の名曲、「ヘルライダー」、「デモナイザー」、「ジューダス・ライジング」なども、本作の、「マシーンマン」、「ブラッドサッカーズ」、「サブターヒュージ」などがベースになって、そこにロブの歌がのっただけだということがわかる。さらに、リッパーのVoだからこそ出来た曲としては、古典的ブルーズの現代的解釈「ヘル・イズ・ホーム」で、これは2000年代版「ヴィクテム・オブ・チェンジズ」あるいは「幻惑されて(ZEP)」といえるものだし、「メタル・メサイア」にいたっては、これはリッパーのグルーヴィに巻き舌でたたみかけるスタイルでなければ歌えない強烈なナンバーで、HMが最も進んだ形であり、いまだにこれを超える新型メタルは存在していないように思う。今だからこそ聴いてほしい。