就任から4年たつが、著者の主張、姿勢は当初から一貫している。まず、景気の見通しについて常に厳しい認識を示してきた。企業が抱える設備、雇用、債務という「3つの過剰」が、景気に対する下方圧力として大きく影響するとの見方だ。近年は「デフレスパイラルの初期段階に入っている」と、一層厳しい景気判断に傾いている。
日銀が取るべき施策としては、「物価目標つきマネタリーベース・ターゲティング」を提案してきた。生鮮食品を除いた消費者物価指数の上昇率を前年同期比0.5〜2.0%増程度の目標に定めるインフレーション・ターゲティングと、マネタリーベースの伸び率を同10%増程度に引き上げる量的緩和を組み合わせて行おうというもの。その骨子は、2001年3月から始まった日銀の量的緩和策で採用された。
デフレ脱却、不良債権処理、企業の活力回復など課題は多いが、日銀の能力をフルに活用すれば、2003年プラスマイナス1年の間に日本経済は回復するだろうとの見通しも示す。
(日経ビジネス 2002/05/06 Copyright©2001 日経BP企画..All rights reserved.)
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「速水日銀」の5年間では「ゼロ金利政策」や「量的緩和」「インフレ・ターゲット」などのこれまでの日銀史上に前例のない政策が議論され、そのうちの前者2つが導入されたが、本書を読むとこれら一連の政策を主張し続けたのが他ならぬ中原氏だったということが分かる。しかも、これらの政策は当初総裁や日銀幹部が強く否定的だったのに、結局は導入されているのだ。審議委員会で総裁案には常に反対票を投じていた中原氏の粘り強さの賜物だろう。
少なくとも速水氏自身は在任中何一つまともな政策を論じる事が出来なかった。上に上げた在任中の打ち出された政策は、断じて速水氏の功績ではなく偏に中原氏のものである。要するに速水氏の「実績」は絶無だったのだ。それどころか「円安売国論」「中国発デレフ」「良いデフレ論」を唱えるなど、全く中央銀行総裁としての資質を疑わしめるのに十分なお粗末さだった。この点は岩田規久男『デフレの経済学』でも指摘されている。(ちなみに同氏の『ゼロ金利の経済学』の併読も薦める)
速水日銀への評価として、次のような至極真っ当な意見がある。
「日銀の金融政策の透明性は十分だ。議事録を読んで、一人の委員の意見を除いて、他はジャンクである事が分かった」
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