ほぼ同じコンセプトの製品であるマランツのM-CR603と比較検討した結果、有線LANに加えてWiFiネットワークにも標準対応している点が決め手になり本機を購入しました。CD、FM/AM、iPod、インターネットラジオ、ミュージックサーバー、USBデバイスと多彩な音源から高音質のサウンドが楽しめます。Apple Inc.の提供する新たなストリーミング環境のAirPlayにも対応予定ということで、機能については「これでもか」というほどに先進的です。そのため操作についてはいわゆるオーディオ機器を操作する感覚とは全く違ったものになっています。一例を上げると、16,000を超えるインターネットラジオ局が登録されたポータルサイトvTunerのプレミアムサービスが、購入者専用サイト(http://www.radiodenon.com)にアクセスして本機のシリアル番号を登録すれば利用できるようになります。このサービスに登録しておけばvTunerの提供するポータルサービスが本機と同期してセレクターに現れるといった具合です。ジャンルや地域で好みの局を選んでお気に入りにプリセットしておけば、世界中から配信される質の高い音楽番組をいつでも簡単に楽しめます。この機器を使いこなすには、インターネット接続環境の準備をはじめとして基本的なネットワークアクセスのスキルが必要になります。オーディオ機器として評価する上で特筆すべきはインターネットラジオやiPodなどの圧縮音源の再生能力の高さです。デジタルアンプのチューニング技術が高いのか、PCにアクティブスピーカーをつないだ構成などと比較すると、異次元とも言える高い音質を実現しています。CDやFMなどのレガシーな音源ではこのクラスのオーディオとしては平均点という所だと思われますが、デジタル圧縮された音源については、高い評価を与えることができると思います。音質以外では生活に便利な機能としてデジタルオーディオタイマーがついてます。目覚まし用はワンス(一日)/エブリデイ(毎日)が選択でき、登録ソースもミュージックサーバー以外はすべて選択できるようになっています。現在時刻をインターネットから自動取得しますので、このタイマーはいつでも正確な時刻で機能します。スリープ用は最長90分で10分刻みにセットが可能です。
外観についてはこれまでのDENON製品とは一線を画すような斬新なデザインです。ボディカラーはご覧の通りこの手のオーディオ機器では珍しいホワイトを採用しています。好みの分かれるところかと思いますが高級感のある上品なホワイトで、筆者の場合はB&W社のデスクトップスピーカーM-1のホワイトと組み合わせて使っていますが、清潔感が感じられてなかなか好印象です。必要最小限の操作ボタンが配置されただけのシンプルな前面パネルには、中央に配置された液晶ディスプレイが存在感を主張します。筐体はこのクラスにしてはやや大型で、30センチ四方の設置面積と10センチを少し超える高さが必要です。iPodを装着するDockが上部にあることやWiFi接続用のアンテナを上に伸ばすことを考えるとラックに押し込む訳にもいきません。設置環境については事前に十分確認しておいた方が良いと思います。リモコンは機能が豊富な割にやや工夫に欠けるデザインで、特にセレクターから必要な機能を選択するときのボタン操作は煩雑です。iPhone/iPodアプリとして本機のリモコン操作用の専用アプリケーションDenonRemoteAppがAppStoreに用意されており、こちらをダウンロードしてiPhone/iPodの画面からのタッチ操作をした方がはるかに楽に感じます。最後に総合的な評価を述べると、ネットワーク上で提供されるデジタル音源を中心としたデジタルオーディオを最新の機能と高音質で楽しみたいと思う方には是非お奨めしたい製品です。ネットワークオーディオの世界で存在感を示すDENONの意欲作だと評価します。
※AirPlay対応に関する追記
2月1日にAirPlay対応のアップグレードサービスが始まりました。早速アップグレードを実施しましたのでAirPlayのレビューを追記します。
アップグレードに要する時間は本機を有線LANにつないだ環境で10分足らずでした。アップグレードが完了するとiTunesやiPad/iPhone/iPod touch(いづれもiOS4.2以上のインストールが必要)の再生機として本機が使えるようになります。iTunesやiPad/iPhone/iPod touchに特別な設定は必要なく、同一LAN上にある本機を自動認識して画面上に再生機器のセレクタが現れます。ここで再生機器を「RCD-N7」と選択すれば本機のモードがAirPlayに切り替わり再生がはじまります。(本機がスタンバイ状態の場合は自動で電源ONとなりAirPlayが立ち上がります)iTunesからの再生は非常に高音質です。もともとオーディオケーブルでiTunesのインストールされたMacと本機をつないでいましたが、音質の差は歴然です。AirPlayが利便性だけでなく音質も十分に考慮した機能であることを実感しました。iTunesのライブラリを主要な音楽ソースとしている方は、音質向上という意味からもAirPlay対応はお薦めです。操作に関してはMacやPCからiTunesを直接操作する他にApple Inc.の「Remote」AppがインストールされているiPad/iPhone/iPod touchからリモコン操作することも可能です。曲の選択やボリュームコントロールをiPad/iPhone/iPod touchから行えるようになりますので、MacやPCから離れた場所でiTunesの操作ができて重宝します。WiFi環境があればiPad/iPhone/iPod touchのライブラリを本機で再生できます。iTunesを立ち上げるのが面倒な時など、手元のスマートデバイスからワイヤレスですぐに再生できるのは便利です。音質もDOCK直結やUSB接続したとき以上に高音質です。
AirPlayはあくまでApple Inc.の提供する独自技術なので、iTunesを音楽ライブラリの中心にしている方にとっては非常に魅力的な機能だと思いますが、iTunesを利用していない方にとっては必要のない機能だと思われます。このあたりを考慮して標準機能ではなくオプション・アップグレードにしている点は評価できます。iTunesを主要な音源として本機の購入を検討するならば、AirPlayはなくてはならない機能と考えるべきなのでしょう。本体価格の1割程度というアップグレード料金の設定は、比較する対象があまりないのですが、とりあえずコストパフォーマンスに見合っていると評価します。