全部ではないけれども、尊敬する吉越氏の主著は一応目を通している
つもりです。でも、読後、「今回は、さすがにちょっとネタもつきた」感
がありますが、でも、「憂国の志ゆえに、いてもたってもいられない緊急提言
してみました」と言ったところで、吉越流の元気メッセージは顕在です。
「経済危機」に見舞われ、元気と活力がない日本と国民(特にビジネスパーソン)
を、吉越流で分析するところから始まります。ただし、そのロジックは非常に
ドライで、欧米流です。著者によれば「世の中が変わったからだ」と
みもふたもない話ですが、しかし、現実を直視することから再生が始まる。
まあ、そうは書いてないけれども、勝者と弱者の格差拡大社会は結果的に
不可避である、という暗黙の前提での現状分析です。ドライです。
世界一勤勉な(であった)日本人が、勤勉に仕事をしても報われない経済社会
になった理由を発端に、「利益を上げることためのマシンである企業」が「労働力
をコストの調整弁とする」ことは「マネジメントの使命である」。さらに、
「世の中に対応する」ということは「状況に対応すること」「競争に勝つ」と
いうことで、勝者になるための「コンクール」に勝つとは、プロセスを評価して
もらうのではなく「アプトプット」を出して評価を勝ち取ることである、と豪語します。
それは「企業風土に依存、染まるのではなく」、どこでもプロとして通用する力量を
もち続けること、といいます。そのためのキーワードは「デッドライン」「リーダーシップ」
「プラグマティック」である、と説きます。
その後はマネジメントと仕事や組織のリーダーシップの話になっている
のですが、最後の締めは「政治や国民」が「自分のやるべきこと、約束」
にコミットメントをし、デッドラインを設けて、アウトプットを出すこと
がこの国を再生させる、というメッセージです。
いつものように、明晰な吉越流の「ロジカル」処方箋ですが、残念なのは、
環境変化を所与の外部環境要件として、それへの対応を説くというロジックは、
企業経営者としての視点であって、天下国家の目線ではないのですが、
個人個人の生き方への処方箋と捕らえれば、それもむべなるかな、というところ
でしょうか。
ところで、この元気のない状況にデッドライン仕事術をどう適用するか?
は、実は、あんまり詳しくは語られてはいません。