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デジタル時代の著作権 (ちくま新書)
 
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デジタル時代の著作権 (ちくま新書) [新書]

野口 祐子
5つ星のうち 4.8  レビューをすべて見る (8件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

近年における社会のデジタル化の進展はめざましいものがある。ソーシャルメディアの普及、多様な電子端末の登場、電子書籍への移行…。こうした急激な変化の前に、創作者の権利、すなわち著作権のあり方も再考を迫られている。著作物の複製・改変・送信が一般化し、アナログ時代の法体系では対応しきれない状況にあるのだ。著作権をめぐり、今何が変わり、何が問題となっているのか。われわれはどんな点を心得ておかなければならないのか。基本的な仕組みから明快に説き起こす。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

野口 祐子
1996年東京大学法学部卒業。1998年4月弁護士登録(東京弁護士会所属)。アメリカ合衆国スタンフォード・ロー・スクール修士課程(J.S.M.)及び博士課程(J.S.D.)修了。現在、森・濱田松本法律事務所パートナー弁護士、NPO法人クリエイティブ・コモンズ・ジャパン常務理事、国立情報学研究所客員准教授。専門は著作権、特許などの知的財産法、国際紛争解決、国際取引など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報

  • 新書: 286ページ
  • 出版社: 筑摩書房 (2010/10/7)
  • ISBN-10: 4480065733
  • ISBN-13: 978-4480065735
  • 発売日: 2010/10/7
  • 商品の寸法: 17.2 x 10.6 x 0.6 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.8  レビューをすべて見る (8件のカスタマーレビュー)
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By vatmideo トップ500レビュアー
ネットでの利用について著作権を知りたいと思って、いくつかの本を読みましたが、現行法の範囲内での記述が殆どでした。
ところが本書では現行の著作権に関する法律の問題点を、歴史的背景にそって指摘しています。権利と公開の自由のバランスの傾き加減をうまく説明しています。
結局のところ、ネットがここまで一般的になった以上、法律の改正が必要なのでしょうが、過去の国際条約が足かせになっていたり、米国・ハリウッドの意向が強く影響していたり、いろいろなネックを示してくれます。このあたりでは最初の方で示された王様の寓話が最後まで生きています。
現状を説明し、そのひとつの解で著者が勧めるクリエィティブ・コモンズ(CC)という手法を示しています。それが正解かどうかは別として、現状の問題点と、主として日米の判例を通じて著作権というものが理解できる本です。
このレビューは参考になりましたか?
16 人中、14人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 革命人士 トップ500レビュアー
レッシグと中山信弘という日米の著作権法の第一人者に学び、著作権業務に携わる著者が、運用の現場から問題点を指摘した本。今まで著作権の本をそれなりに読んだが、なぜ著作権法が大きな問題になっているのかピンとこなかった。かつては複製、発信権は業者だけに限られていたのが、デジタル化で誰でもクリエイターになり、著作権法自体も業法から一般的な法律に変わった。だが、著作権の制限規定はすべてがいちいち細かく決められていて、素人には全くわからないし、例外以外はすべて複製が認められない不自由なものである。利用する場合も非常に厳格なステップを踏まないと「違法」とされるので、まだ放送10年もたっていない冬ソナのDVD発売では、作中のBGM作者を見つけるのに大変な手間がかかり、なかなか発売できなかったという。

技術進化が進む現在、例外規定をその都度建て増しする従来の著作権法のスタイルでは、技術進化に追いつけない。そのため、目的や著作物の性質を勘案して公正な利用であれば広範囲に無許可の使用を認める、アメリカの一般例外規定である「フェアユース」の導入が議論されている。著者はフェアユースについて、判決が出るまでは合法か違法かわかりづらい反面、裁判官が個別の規定に縛られず柔軟に判断ができるメリットがある、と指摘する。また、著者や著者の恩師らが中心になっている「クリエイティブ・コモンズ」も一つの解という。自分の著作に世界共通の利用条件マークを表示し、マークで示した条件下であれば許諾を求めることなく自由に使ってくださいというもの。このようなオープンライセンス化により、自分の得意分野をそれぞれ持ち寄って、沢山の人の手によるコラボレーションでより素晴らしい作品が生まれる可能性を著者は論じる。

著作権所有企業の権利も配慮しつつも、ユーザーや一般人の使い勝手や、権利の共有による文化や技術の発達に重きをおいた考えを持つ日米の恩師と同様にバランスが取れた内容。権利の概念や歴史について書かれた導入部は難しいが、初歩から著作権の全体像を知るのにかなり役立つ本ではないかと思う。特に抽象的に感じていたフェアユースの概念は霧が晴れるような解説だった。
このレビューは参考になりましたか?
6 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By モチヅキ VINE™ メンバー
 中山信弘やローレンス・レッシグに師事した女性弁護士が2010年に刊行した本。著作権法は創作的表現を保護し、事実とアイディアは保護しない。それは創作のインセンティヴを確保するため、保護されるべき表現には著作財産権と著作者人格権、著作隣接権といった囲い込みの権限を与えるが、他方で知的活動の自由とのバランスを考慮し、例外規定等も付け加えている。こうした大枠は19世紀末のベルヌ条約で定められたが、当時の状況からそれは業者への産業規制法にとどまった。しかしインターネットの普及によって、複製や公衆送信は飛躍的に容易になり、著作権法の対象は未成年を含む一般市民にまで拡大したにもかかわらず、著作権法の大枠は変わらず、煩瑣な個別規定のみ増えている。こうした著作権法の現状を、日米における多くの直接侵害、間接侵害の事例を挙げて解説した上で、権利者と利用者のバランスを重視する本書は、ハリウッドが主導したWIPO著作権条約やDRMによる著作権強化の動きが、表現の自由の範囲を狭める点に憂慮を表明しつつ、登録制度や一般例外規定の導入、著者も関わるクリエイティヴ・コモンズ運動などを対案として提示する。最後に、新しい技術によって社会にもたらされる新たな可能性に対してどう向き合うか、共有経済と商業的な経済、囲い込みと露出とをどう使い分けるか、多様化する著作権の生態系の中で、最適なライセンスの形態をどれだけ分岐させてゆくのか、一律定額の税金制による自由利用化は是か非か等の、より根本的な問題を提起して、本書は締めくくられる。本書は著者自身の実務経験や研究の成果を踏まえ、近年の具体的な事例と哲学的な背景に共に目配りをしながら、現在の著作権をめぐる諸問題を根本から考え直している本である。叙述も平易で、私のような素人にも比較的分かりやすい内容である。
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