そもそもなぜクリップオンストロボを使う必要があるのか、その存在理由をこれから理解しようとする初心者には参考となる情報が載せられています。
特に、ディフューザーなどのアクセサリ比較は面白く、なかなかためになります。
しかし、著者はポーズを決めてくれる女性モデルばかりを相手にされているポートレート専門の方のようなので、動きがコントロールできない被写体を相手に一瞬のシャッターチャンスを確実にものにしなければならないような状況で必要とされるテクニックとは、かなりの隔たりを感じます。
また作例はほぼ全編に渡ってポートレートばかりですが、その割には立体感のないノッペリ顔になっている写真が多い印象を受けました。(なぜ表紙にこの写真を選んだのかも意図が全く解りません。表紙のデザインがイマイチだったことについては著者ご自身も言及しておられましたが…)
論調から察するに、著者はひたすら影を飛ばすことがお好きなようですが、写真のジャンルが異なればストロボテクニックが違ってくるのは当然で、そこに話が触れられていなかったのは残念です。
それに(これは私の主観ですが)、ポートレートこそ『影のコントロール』を最も重視すべきジャンルだと思うのですが……
当初、講義の副本としての活用を考えていましたが、論調がやや独断的で偏った傾向があり、生徒のテクニックが偏重になることなどを危惧し、結局採用できませんでした。
もしもこの本の題名が『ポートレートのストロボテクニック―工夫とワザ』で、もっと質の高い作例が盛り込まれていたなら、もう少し高い評価もできたのではないかと思います。